トメニアは、独裁者ヒンケルが支配する国となり、ユダヤ人の迫害を開始する!
本作はチャップリンが製作・監督・脚本・主演(2役)を務め、痛烈にヒトラーの独裁政治を批判した初のトーキー作品で最高傑作とも言われる風刺コメディ。
世紀の独裁者! A・ヒットラー
歴史上 独裁者の典型と言われるアドルフ・ヒトラーは、ドイツ史上かつてない権力を掌握した後は隣国に次々と侵攻し、全世界を第二次世界大戦へと導いた狂気の独裁者!
第一次世界大戦後までは無名の一青年に過ぎなかったヒトラーは、ドイツ国粋主義と雄弁な演説によりナチ党の党首からドイツ国首相となり、首相就任後はナチ党に従わない党内外の政敵をかたっぱしから排除し「ナチズム」という、特異な一党独裁体制を築きました。
更には、自国の領土拡張を目的とする一方的な侵略政策を進め1939年のポーランド侵攻に始まる第二次世界大戦を引き起こし、その戦争の最中にはユダヤ人を迫害する大量虐殺を行いながらヨーロッパ大陸の大半を占領したのです・・・正に、世紀を代表する独裁者!
独裁者を痛烈に批判した!諷刺コメディ
風船の地球儀を弄ぶシーンは、世界征服を目論む独裁者を痛烈に風刺した有名シーン!
そして、その風船地球儀は 大きな音を立てて破裂するのでした。
劇中ではヒトラーをパロディ描写したシーンが多くあり、独裁者を笑い者にしています。
世界的な人気者!チャールズ・チャップリン
その演技スタイルは、ドタバタにペーソスを組み合わせた作風が特徴的で、作品の多くには自伝的要素や政治的要素が取り入れられており、チャップリンは自伝で「ヒトラーという男は、笑いものにして やらなければならないのだ!」とも述べています。
1940年にアメリカで公開された『チャップリンの独裁者』は大人気となり、第13回アカデミー賞で作品賞・主演男優賞・脚本賞など5部門でノミネートされました。
日本初公開は第二次世界大戦の終戦から15年後の1960年で、日本でも大ヒットを記録し1999年の「映画人が選ぶオールタイムベスト・外国映画編」キネ旬発表では第28位、2008年「史上最高の映画100本・仏 カイエ・デュ・シネマ誌」の発表では第24位を獲得しています。
『チャップリンの独裁者』のあらすじ
記憶を失った床屋は 独裁者となった!?
時は第一次世界大戦の最中。
トメニア国の重砲部隊に所属する二等兵の男(ユダヤ人の床屋)は、負傷した士官のシュルツを救出する。
シュルツは重要書類を持っており、本国に届ける為二人は小型飛行機で飛び立つが、飛行機は燃料切れにより墜落してしまう。
生き延びた二人はトメニアがすでに降伏していたことを知るが、床屋は墜落の衝撃で戦場での記憶をすべて失っていた・・・。
その後、トメニアでは政変が起こり、アドルフ・ヒンケルが独裁者として君臨し自由と民主主義を否定し、国中のユダヤ人を迫害するようになっていた。
強制収容所に収容されていた床屋とシュルツはトメニアの軍服を奪い、収容所から逃げ出した。
二人を捜索していた兵士たちは、侵攻に備え国境付近で単身待機していたヒンケルを床屋と間違えて逮捕してしまう。
逆に、床屋はヒンケルに間違えられ、シュルツと共に将校たちから丁重に扱われる。
床屋は独裁者・ヒンケルと間違えられたまま、占領されたオーストリッチの首都へ連れていかれ、大勢の兵士が集う広場で演説を行うことになった。
マイクの前に立った床屋は演説を行うが、それは自由と寛容と人種の壁を越えた融和を訴える一世一代の名スピーチだった。
チャップリンの感動スピーチ!
『独裁者』のラストシーンでは、瓜二つの顔をしていたために独裁者・ヒンケルと間違われた床屋が兵士たちの前で演説します
そのスピーチは・・・
”機械よりも、人類愛が必要なのだ。 賢さよりも、優しさ、思いやりが必要なのだ。
そういう感性なしでは、世の中は暴力で満ち、全てが失われてしまう”・・・・・・等と。
このスピーチはチャップリン自身によって書かれたもので、感動的なスピーチとして称賛されています・・・6分間に渡る演説の時は、ほとんど 瞬きしていない!?
時代を超えた喜劇王!チャールズ・チャップリン
コメディの中に、強烈な諷刺と社会的メッセージを伝えるチャップリンの映画。
『独裁者』は、当時ヨーロッパを席巻していたナチスのヒトラーを散々コケにしており、その時代に作ったとは凄い度胸・・・さすが 諷刺タップリの喜劇王です!!
作品情報
製作国:アメリカ
製作・監督・脚本・主演(2役):チャールズ・チャップリン
上映時間:125分
日本劇場公開日:1960年10月22日
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