逆に歳を取る(若い頃は見た目が老人、どんどん若くなっていく)ベンジャミン・バトンの人生です。
1918年のニューオーリンズで始まる彼の物語は、生と死、愛と別れというテーマを通して、観る者の心に深い感動を呼び起こします。
この物語は、通常の人生とは逆の経路をたどるベンジャミンの成長と、彼が経験する出会いや別れ、愛情や離別を通して、観客に共感や共鳴を呼び起こすでしょう。
2009年に劇場公開された「ベンジャミン・バトン」の予告編動画は、こちら
映画「ベンジャミンバトン 数奇な人生」は、通常とは逆に若返っていくベンジャミン・バトンの驚異的な人生を描いた作品です。
1918年のニューオーリンズで始まった彼の旅は、生と死、愛と別れの美しさを優雅に描き出し、観る者の心に深い感動と思索を呼び起こします
実話なのか?若返る病気は、あるの?
残念ながら「ベンジャミンバトン数奇な人生」は、実話ではありません。
また、若返っていく病気も存在しません。
似た病気として、早老症(そうろうしょう)と言われる老化が実際の年齢よりも早く症状が進む病気はあります。
早老症について詳しく知りたい方は、以下のサイトを参考にしてみてください。
院長先生のコラムにてわかりやすく記事が書かれています。
「ベンジャミンバトン」のあらすじ・ストーリー
「私はベンジャミン・バトン。変わった境遇で生まれてきた。第一次世界大戦が終わり、赤ん坊が生まれるには最高の夜だった――」
1918年、ニューオーリンズ。
黒人女性のクイニー(タラジ・P・ヘンソン)は、置き去りにされた赤ん坊を見つけ拾う。
「ベンジャミン」と名づけられた男の子は、すぐにクイニーが営む施設の老人達の中に溶け込んだ。
その理由は、彼は、80歳の容姿で生まれてきたからだ……。
赤ん坊の「ベンジャミン」は、どんどん若返っていく
“母親”クイニーの惜しみない愛情に包まれて、ベンジャミン(ブラッド・ピット)は成長していった。
車椅子から立ち上がって歩き出し、しわが減り、髪が増え……そう、ベンジャミンは日に日に若返っていったのだ。
1930年、感謝祭でベンジャミンは、将来自分の人生を変えることになる少女と出会う。
施設の入居者フラー夫人を訪ねてきた孫娘、6歳のデイジーだ。
ふたりはすぐに心を通わせ、ベンジャミンは自分の秘密(若返っていく病気を持っている事)を打ち明けるが、デイジーはそのことを既に感じていた。
ベンジャミンは、実の父親に会う事になる
ある日、ベンジャミンは働かないかと誘われてマイク船長(ジャレッド・ハリス)の船に乗り、さまざまな“初めて”を体験する。
海、労働、女性、帰り道に声をかけられた男と飲んだ酒。
男の名はトーマス・バトン(ジェイソン・フレミング)、ボタン製造会社のオーナーだ。
実は彼こそが、ベンジャミンを捨てた父親だった。
出産直後に亡くなった妻との、息子を守るという約束を果たせず、後悔の日々を送っていた。
1936年、ベンジャミンは皆に別れを告げ、デイジーには「どこへ行っても葉書を出す」と約束して、再び海へ出る。
やがて、英国のスパイの妻であるエリザベス・アボット(ティルダ・スウィントン)と恋におち、男として愛される幸せを知る。
だが、その恋は短命だった。
若返っていくベンジャミンは、デイジーと再会する
1941年、太平洋戦争が始まり、エリザベスは消え、ベンジャミンの船は戦争に駆り出される。
1945年、戦いで大切な友を亡くしたベンジャミンは家に帰り、すっかり美しく成長したデイジー(ケイト・ブランシェット)と再会する。
彼女は、ニューヨークでモダン・バレエのダンサーとして活躍していた。
心の片隅では、いつもベンジャミンを思いながらも、若きデイジーはまだ、自分だけの人生に夢中だった。
ふたりはまた、別々の時を進む。
ベンジャミンと再会したトーマスは、遂に自分が父親だと打ち明ける。
不治の病で余命わずかのトーマスは、ベンジャミンの母との幸せな出会いを語り、ボタン工場や屋敷など全財産を譲りたいと申し出るが、ベンジャミンは「僕の家に帰る」と静かに立ち去る。
それでもベンジャミンは、父の最期の日々にそっと寄り添うのだった。
1962年、喜びも悲しみも、孤独も知った人生のちょうど真ん中で、遂にほぼ同じ年齢を迎えたふたりは結ばれる。
愛に満ちた幸せな日々の中で、ふたりは恐れ始める。
やがてまた、時に引き裂かれることを。
ベンジャミンバトンの登場人物・キャスト
主演はブラッド・ピットとケイト・ブランシェット。
「グレート・ギャッツビー」のF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説を『セブン』『ファイト・クラブ』のデビッド・フィンチャー監督が映画化。
ベンジャミンバトンの考察
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の概要
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、80歳の老体で生まれ、年を経るごとに若返っていくという数奇な運命を辿る男性、ベンジャミン・バトンの一生を描いた作品です。
この映画は、デヴィッド・フィンチャー監督とブラッド・ピット主演による作品で、アカデミー賞で主演男優賞、監督賞などを含め全13部門にノミネートされ、3部門で受賞するなど、高い評価を受けています。
この映画は、2時間40分という長編映画ですが、その長さを感じさせないほど観客を引き込む力があります。
その理由は、一人の人生をゆったりと追っていくストーリーと、ロマンスの要素が絶妙に組み合わさっているからです。
また、映画の中には、人間の生と死、善悪の相対性など、多くのテーマが織り込まれています。
これらのテーマを深く考察することで、映画の物語はより深い意味を持ち、観客に多くの考えるべき点を提供します。
また、この映画は原作と大きく異なる作品としても知られています。
例えば、原作ではベンジャミンは父親に捨てられますが、映画ではそのまま家で育てられます。
また、映画ではベンジャミンは最終的にデイジーと結ばれて、デイジーの腕の中で亡くなりますが、原作ではあっさりと別れてしまい、ベンジャミンはそのまま一人実家で亡くなります。
これらの違いは、脚本家のエリック・ロスの力によるもので、原作のより残酷で救いがない話を、感動的な物語に変えています。
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、その公開から15年以上が経った今でも、その高い評価と影響力を保ち続けています。
映画と原作の違い
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』とF・スコット・フィッツジェラルドの原作小説は、多くの点で異なる印象を与えます。
原作小説では、ベンジャミンの寂しさや孤独、無力さが強調されていますが、映画版ではそれらが薄れ、より人間ドラマとしての要素が強調されています。
設定の違いも大きいです。
原作小説ではベンジャミンが生まれたのは1860年ですが、映画版では1918年となっています。
また、出生地もボルチモアからニューオリンズに変更されています。
ベンジャミンが老人の姿で生まれるのは同じですが、映画版では背丈も知能も新生児同様であり、言葉もしゃべれない設定になっています。
これに対して、原作ではベンジャミンは完全な老人として登場し、生まれたときから言葉も話せ、会話もできます。
また、原作ではベンジャミンは自分を愛そうとしない父と暮らしていますが、映画版では父は生まれた直後のベンジャミンを捨て、ベンジャミンは施設で育てられます。
ベンジャミンは老人たちに囲まれ、多くの人の死とともに成長していきます。
映画版のヒロインであるデイジーも原作には登場しません。
デイジーはベンジャミンが若返り続け、その死期が近づいても彼を愛し続けますが、原作にはデイジーは登場せず、代わりにヒルデガルドという女性がデイジーの位置に収まります。
しかし、ベンジャミンは彼女を一途に愛し続けることなく、老いを隠せなくなった彼女への愛情が薄れ、彼女のもとを何も言わずに去っていきます。
このように、原作の『ベンジャミン・バトン』は暗く陰鬱な印象が強く残る小説であり、映画版とはかなり印象が異なります。
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』のテーマ
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、人生の素晴らしさと残酷さ、そして生と死を描いています。
主人公ベンジャミン・バトンは、80歳の老人の姿で生まれ、年を取るごとに若返っていくという特異な人生を通じて、人生の喜びと苦しみ、出会いと別れ、愛情と離別、嘘と真実など、人間が経験するさまざまな感情や経験を描き出しています。
この映画は、ベンジャミンが体験する数奇な運命を通じて、人生の価値について深く考えさせてくれます。
彼の人生は、通常の人間とは逆の流れを辿りますが、その中で彼が経験する出会いや別れ、喜びや苦しみは、我々が普段経験するものと変わりません。
この映画は、そのような普遍的な人間の経験を描きつつ、人生の価値や意味について深く考えさせてくれます。
また、映画の中でベンジャミンが娘へ送った手紙の中に残されていた名言、「なりたい自分になればいい。タイムリミットはない。いつ始めてもいいんだ。変わってもいいし、変わらなくてもいい。ルールなんてないんだよ。人生は最高にも最悪にもなる。もちろん最高のほうがいいけど。驚きに満ちたものを見つけて、それまで感じたことのないことを感じて、人と出会い、様々な価値観を知ってほしい。道を見失ったら、大丈夫。またやり直せばいいんだ。」は、人生の素晴らしさとその価値を象徴しています。
この映画は、人生の経験を通じて人間の成長を描き、人生の価値を問いかける作品と言えるでしょう。
映画の見どころ
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の見どころは、ベンジャミン・バトンという特異な人生を歩む主人公が、自身の逆行する老化という運命を受け入れつつ、人生を前向きに生き抜く姿です。
彼の人生は、生まれたときから老人の姿で、年を取るごとに若返っていくという、他の誰とも異なる運命を持っています。
その特異な運命の中で、彼が経験する出会いや別れ、愛情や離別などは、観る者それぞれにとって共感や共鳴を呼び起こすでしょう。
また、映画の見どころの一つは、ベンジャミンが経験する人々との関わりです。
彼の人生は、船乗りとして働いたり、戦争を経験したりと、まさに「数奇な人生」そのもの。
その中で出会った人々との関わりや経験する出会いや別れ、愛情や離別などは、観る者それぞれにとって共感や共鳴を呼び起こすでしょう。
さらに、ベンジャミンが年を取るごとに若返っていくという特異な設定を通じて、人生の有限性や過ぎ去る時間の価値を改めて考えさせられます。
この映画は、視覚的な美しさだけでなく、その深いテーマとメッセージによって、観る者を引き込む力があります。
彼らはベンジャミンの人生に深い影響を与え、彼の人生観を形成していきます。
以上のような点から、映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、観る者にとって多くの感動と共感を与える作品と言えるでしょう。
映画の評価
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』の評価については、その独特な設定と深遠なテーマが観客の心を引きつけ、多くの高評価を獲得しています。
この映画は、2時間40分という長さにも関わらず、観客を飽きさせず、あっという間に時間が過ぎてしまうほどの魅力があります。
また、ブラッド・ピットのファンにとっては見逃せない作品であり、人生というものを深く考えさせてくれます。
さらに、映画は「人生は素晴らしい」というメッセージを強く伝えています。
ベンジャミンが経験する数奇な人生を通じて、人生の素晴らしさ、生きることの喜び、そして人間の成長と変化を描いています。
そのため、この映画は多くの人々に愛され、高い評価を受けています。
これは、映画が観客に深い感動を与え、多くの人々にとって価値ある体験を提供した証拠と言えるでしょう。
象徴的な要素としての雷:人生の予測不可能性と耐久性の表現
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、物語のテーマを象徴する要素を巧みに織り込んでいます。
その中でも、「雷」は人生の予測不可能性と耐久性を表現する象徴として特に印象的です。
映画中に何度も登場する雷は、実際に7回も雷に打たれながら生き抜いた「人間避雷針」と呼ばれたロイ・クリーヴランド・サリヴァンのエピソードを通じて、「たとえ思いがけないことが起こっても、どんな衝撃を受けても、人生は続いていく」というメッセージを視聴者に伝えます。
ハチドリの象徴:永遠、愛、美しさの継続
一方、映画中で何度か登場し、その存在が印象的な「ハチドリ」は、「永遠」、「愛」、「美しさ」の象徴とされています。
ハチドリが登場した場面は、マイク船長の死後とデイジーが息を引き取った瞬間でした。
これは、死後もその命や愛、美しさは永遠に残り続けるという意味を持つと考えられます。
ハチドリの特殊な羽の動きは八の字を横にしたような感じで、「無限(∞)」を表しているとマイクは語りました。
映画のメッセージ
映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、人生の一方向性とその美しさを描き出しています。
この作品は、人生が二度と戻らないという事実を強調し、その中での出会い、別れ、喜び、残酷さを描いています。
ハチドリとハリケーンの象徴は、命が永遠に繰り返される一方で、人の一生は二度と戻らないという事実を示しています。
また、映画は「人は生まれる時も死ぬ時も一人」という意見に対して、人は他人の手を借りて生まれ、死ぬ時も他人に見守られることが望ましいというメッセージを伝えています。
人生はハチドリの羽ばたきのように、瞬く間に過ぎていく。
後悔しても時間は戻せない。
しかし、その中でどのように生きるかが、人生の素晴らしさを決定する。
この映画は、視覚的な美しさと深いメッセージを通じて、人生の価値とは何かを問いかけています。
それは、人生が一度きりであるという事実を受け入れ、その中で最善を尽くして生きること、そして人々との出会いや経験を通じて自己を成長させ、人生を豊かにすることであると言えるでしょう。
映画「ベンジャミン・バトン」のまとめ
『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、視覚的な魅力と深淵なテーマを巧みに組み合わせた作品で、観る者に人生の素晴らしさとその複雑さを示しています。
この映画は、ベンジャミンの逆行する人生を通じて、我々が日々直面する人間の経験、出会いと別れ、喜びと残酷さを描き出しています。
映画の中心には、ブラッド・ピット演じるベンジャミン・バトンという、成長するにつれて若返っていくという数奇な運命を辿る男がいます。
彼の人生は、さまざまな人々との出会いと別れ、そしてそれぞれの人生の喜びと残酷さを通じて、観る者に人生の素晴らしさを教えてくれます。
これらのテーマは、ハチドリとハリケーンという象徴的な要素を通じて描かれ、物語の深層を理解する手がかりとなります。
この映画は、観る者に自身の人生を見つめ直すきっかけを与え、人生の価値について深く考えさせます。
あなたはどのようにこの映画を解釈しますか?
ベンジャミンの人生を通じて、自身の人生について考える機会を得ることができるでしょう。
映画「ベンジャミン・バトン」のレビューを調べてみた
ベンジャミンバトン!?
パルプ・フィクション ヴィレッジ シックスセンス ミスト コンスタンティン ユージュアル・サスペクツ セブン ベンジャミンバトン ショーシャンクの空に トゥルーマン・ショー イエスマン
歳をとればとるほど肌が若返っている。夜勤がない、ストレスが減っただけでこんなにも変わるものなのかと。ベンジャミンバトンです。
私はベンジャミンバトンだなこれ あんまり内容覚えてないけど設定はおもしろげなのに延々とヌルい恋愛エピを見せられ続けてウンザリした覚えがある
監督は、デヴィット・フィンチャー
映画「ベンジャミン・バトン」のように独特な演出を行うデヴィット・フィンチャー監督の記事がありますので、興味がある方は参照してみてください。
コメント
コメント一覧 (1件)
人生の終着点が脳裏にちらほらと浮かんでは消えるこの頃、この映画から改めて人生の素晴らしさを思い知らされた。アンチエイジングの情報が洪水の如く押し寄せる日々、ベンジャミンの数奇な人生が問いかけてくれる「幸せな日々とは、幸せな人生とは、幸せな出会いとは」に改めて思いを馳せました。私の人生は最高でした。幸せでした。ありがとうベンジャミン、ありがとうデイジー。この作品に出合えたことに感謝しています。