2021年に劇場公開された「Swallow/スワロウ」の予告編動画は、こちら
裕福だが退屈で孤独な主婦は、ある日ふとしたことからガラス玉を飲み込んでしまう!
その瞬間!痛みと共に感じたのは、得も言われぬ充足感と快楽だった。
『スワロウ』は、異物を飲み込むことで自分を取り戻していく主婦を描いた異・食スリラー。
”欲望”を呑みこんでゆく
完璧な夫と、美しいニューヨーク郊外の邸宅・・・彼女は誰もが羨む暮らしを手に入れた。
ところが、無神経な夫や義父母からも蔑ろにされ、いつのまにか孤独で息苦しい日々を過ごしていた。
ある日、彼女はガラス玉を呑み込みたいという衝動にかられ吞み下したが、痛みと共に得も言われぬ充足感と快楽を得た!
そして、次第に より危険なものを呑み込みたいという欲望に憑りつかれていく・・・。
その”欲望”はエスカレートする
その後、最初のビー玉から始まり 画鋲やバッテリーのようなものまで食べるようになり、嚥下後の充実感や多幸感に ますますハマっていくのだった・・・異食喰いがエスカレート!
”ハマってしまったのは、それらの食感があまりにも素晴らしいからです!” と?
挑発的なスリラー
異食症はラテン語でPICA(ピカ)と言いカラス科の鳥でカササギを意味し、カササギは何でも口に入れることから名づけられました…本作の彼女はピカピカの邸宅に住むピカ女?
その異物は彼女のオブジェとなる
『スワロウ』の主人公は 次々と異物を吞み込んでいくが、消化されることのない異物は胃や消化器官を通って便と共に排出される。
彼女はそれを便の中から取り出し、キレイに洗浄してオブジェのように飾っていくのです。
まさに塵ひとつない 清潔な邸宅の中にある それらは・・・糞まみれから生まれた オブジェ。
退屈という”地獄”の日々!
誰もが羨む生活を手に入れても、人里離れた邸宅に独りで暮らすのは一種の囚われの身になったようなものであり、スマホゲームの時間つぶしも限度があるし、”退屈”すぎる日々が
刺激のある事を求めることにもなるのです・・・。
そんな環境にある彼女が発見したのは、画鋲や安全ピンなどの尖ったものを口に入れ排出されるときの痛みであり「肉体の痛みを感じることで、心の痛みをごまかす」行為ともいえます・・・飲み込んだ画鋲やピンが 胃壁や腸管に“ブチッ”と刺さったらどうなるのか?
様々な映画祭で絶賛!
監督・脚本のカーロ・ミラベラ=デイヴィスは、本作が長編デビュー作となる新鋭監督。
映画『Swallow/スワロウ』のあらすじ
異物を呑み込む多幸感
もともとはバス用品の販売員をしていたハンターは、ニューヨーク郊外にある瀟洒な邸宅で、誰もがうらやむような暮らしを手に入れた。
しかし、まともに話を聞いてくれない夫や、彼女を蔑ろにする義父母の存在など、彼女を取り巻く日常は孤独で息苦しいものだった。
夫が望むことは”美しい妻”であることだけ・・・彼女は幸せな妻のフリをするだけ。
そんな中、ハンターが妊娠し 夫と義父母は待望の第一子に歓喜の声をあげるが、ハンターの孤独はこれまで以上に深くなっていった。
ある日、ふとしたことからガラス玉を飲み込みたいという衝動にかられたハンターは、ガラス玉を口に入れて飲み込んでしまう。
そこで彼女が痛みとともに感じたのは、得も言われぬ充足感と快楽だった。
異物を飲み込むことに多幸感を抱くようになったハンターは、さらなる危険なものを飲み込みたい欲望にかられ 嚥下後の充実感や多幸感に ハマっていくのだった。
そして、ラストでは彼女が自分を偽ることを捨て、ある行動?に出ることで本来の自分を取り戻すことになっていく・・・同時に異食症も克服した!
キャスト
ヘイリー・ベネット、オースティン・ストウェル、エリザベス・マーベル、デビッド・ラッシュ、デニス・オヘヤなどが出演。
挑戦的で新感覚のサスペンス
本作は映像の感覚が素晴らしい!どのショットも尋常ならざるアート感覚で迫ってくる。
そのクールな映像の中で、じわじわと高まっていく不条理なサスペンスには、ドキドキさせられます。
特にハンターが異物を飲み込むシーンでは、背景が赤く彩られた窓になったり、緑の壁となったり、黄色く照らされた部屋だったりするのも、主人公の精神的な不安定さを示しているようで映画的に見事な演出!
作品情報
製作国:アメリカ・フランス合作
監督:カーロ・ミラベラ=デイビス
上映時間:95分
日本劇場公開日:2021年1月1日
コメント
コメント一覧 (1件)
今まで感じたことのないようなゾクゾク感を感じさせられる心理スリラー映画でした。誰かに認められなきゃ存在意義がない、認められるために嫌なことも飲み込まなきゃいけない、なんとなく理解できてしまう。映像もすごく美しくフェミニズム映画としてとても良い作品だなと思いました。