マカロニ・ウェスタンの3部作品のBlu-rayシリーズで復活
これら三部作はマカロニ・ウエスタンという新ジャンルを確立し、後に続く西部劇の原型となりました。
『ドル箱 三部作』は、主演クリント・イーストウッドのドル箱的成功ムービー!
マカロニ・ウェスタンのマカロニとは?
セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』が日本で1965年に公開された際、映画評論家の故 淀川長治が ”スパゲッティでは細くて貧弱そうだ”ということで「マカロニ」と呼び変えたと言われます。
主演俳優にはイーストウッドの他に、ジュリアーノ・ジェンマ、フランコ・ネロらが有名。
マカロニ・ウェスタンの魅力!
砂埃が舞い硝煙が漂う街に現れる流浪のガンマン・・・そして火花を散らす決闘と銃撃戦。
目元や表情のクローズアップで緊張感を高め、高まる音楽と共に壮絶なガンファイト!
「マカロニ」では、なんと言ってもありとあらゆる無法者どもが溢れかえる世界で、銃にモノをいわせた生々しい人間の欲望とエゴが描かれる。
伝統のアメリカ西部劇は「善と悪」のドラマ性を持たせた上で、正義然とした主人公が悪を倒すという内容の映画が大半であるのに対し、マカロニ・ウエスタンは 正義などカケラも持っていない情け無用の無頼漢を主人公にしたハードボイルドな作風を前面に押し出しているのが特徴で、痛快な娯楽バイオレンス・アクションが最大の魅力です!
無名監督と駆け出し俳優の低予算映画
『荒野の用心棒』は製作時に主演選びが難航し、ヘンリー・フォンダなどアメリカの有名スターにオファーされたが、無名のイタリア人監督による訳のわからない作品に出演してくれる俳優はなかなか見つかりませんでした。
そんな中、TV「ローハイド」に出演しマンネリ化していた駆け出し俳優のクリント・イーストウッドに声がかかり、”試しに行ってみるか”と言う事で出演しました。
公開後 低予算のイタリア西部劇『荒野の用心棒』は、フタを開けてみたら予想外の世界的大ヒットを記録し、世界中を巻き込んだ空前のマカロニブームを巻き起こしていくのです。
西部劇の新ジャンルを確立した『ドル箱三部作』
『荒野の用心棒』の大ヒットにより、多めの予算をかけた第ニ作目『夕陽のガンマン』は
ハリウッド俳優のリー・ヴァン・クリーフを招き二人の賞金稼ぎを描いた本作は、前作同様に大ヒットとなり、1年後には第三作目『続・夕陽のガンマン』が公開されました。
いずれも大ヒットした三部作は、これまでの西部劇の概念をくつがえし「マカロニ・ウエスタン」というジャンルを確立し、その存在を世界に知らしめたエポック・メイキング的作品となったのです。
『ドル箱三部作』の名称は、多額の興行収益を挙げたということではなく最初の2作の原題のタイトル「A Fistful of Dollars」などにDollar(ドル)が入っていることによります。
イーストウッドは国際的な映画スターに
この三部作の記録的な大ヒットにより、アメリカではテレビ・スター止まりだったクリント・イーストウッドを国際的な映画スターにし、イーストウッドにとってはドル箱的成功ムービー三部作になっといっても過言ではありません!
『ドル箱三部作』で名声を得たイーストウッドは、ハリウッドに凱旋した後は数々の話題作に出演するようになりました。
中でもイーストウッドの人気を不動のものとした『ダーティーハリー・シリーズ』は、犯罪に立ち向かうニヒルでクールなタフガイ・キャラハン刑事のキャラクターには、マカロニ・ウエスタンの影響が色濃く現れています。
マカロニ・ウエスタン『ドル箱三部作』
一作目『荒野の用心棒』(1965年)
アメリカとメキシコの国境沿いの小さな町サン・ミゲルに、流れ者のガンマンが現れる。
男は町で勢力争いで対立するボスたちの間に入って、壮絶な戦いを仕掛けていく。
黒澤明監督の『用心棒』を非公式にパクったとして、『用心棒』の権利を持つ当方と法廷闘争にまで発展した、記念すべきマカロニ第1作目。
『夕陽のガンマン』(1967年)
凄腕の賞金稼ぎガンマン二人が、お互いの腕を認めながらコンビを組み、凶悪な賞金首を狙う事になった・・・この二人が出会う場面の演出は、映画史に残る名場面!
赤い夕日に照らされた荒野とガンマン・・・心に響く音楽が、情感豊かに入ってくる。
巨匠エンニオ・モリコーネのメロディー無しには本作を語れない程、楽曲が素晴らしい!
『続・夕陽のガンマン』(1967年)
南北戦争真っただ中のアメリカの荒野を舞台に、隠された金貨20万ドルを手に入れようとする善玉・悪玉・卑劣漢の3人のガンマンの駆け引きを描く。
見どころはラストの墓場での決闘シーン!
3人の顔と顔と顔と銃のアップ、高鳴るモリコーネの音楽・・・そしてすべてにケリがつく一瞬
さすがレオーネ監督です。
伝説のシーンのロケ地となった墓場は『サッドヒルを掘り返せ』のドキュメンタリーで聖地巡礼の地となりました。
マカロニブームの終焉と再味見
1960年代に始まったマカロニブームは、その後10年ほどで終息を迎えました。
しかしクェンティン・タランティーノ監督など、マカロニ・ウエスタンの影響を受けた人々や映画が数多く登場しています。
マカロニ・ウエスタン誕生から60年以上の時が過ぎていますが、改めてマカロニの「味」を、味わってみてはいかがでしょうか!
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