1977年に劇場公開された『惑星ソラリス』の予告編動画は、こちら
その惑星には人間の潜在意識を探り出して実体化する「海」が存在した・・・超知性体の海。
美しい映像表現で『2001年宇宙の旅』とともに、映画史に大きく名を残す傑作SF!
世界的巨匠アンドレイ・タルコフスキーの最高傑作『惑星ソラリス』がリマスター版で登場。
謎の惑星「ソラリス」を解説
その惑星は生物の存在は確認されないが、理性を持った有機体と推測されるプラズマ状の“海”によって被われていた。
世界中の科学者達の注目がソラリスに集まり、理性があると考えられる“海”と 接触しようとする試みが幾度か繰り返されたが、いずれも失敗に終った。
そして、ソラリスの軌道上にある観測ステーションが原因不明の混乱に陥っていた。
原因究明と打開のために、心理学者のクリスが観測ステーションに送られることになった。
到着したステーション内は荒れ果て、先発の3人の科学者は皆、狂気の淵に立たされていた。
そして、突然クリスの前に数年前に自殺した妻ハリーが現れた! これは幻覚なのか?
だがそれは、人間の意識を反映して具現化させるソラリス表面のプラズマ状の“海”の仕業だったのだ。
デジタル・リマスター版で再登場!
本作の公開当時には、難解なSF作品と話題になったスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』(1968年) と比肩される、SF映画の傑作と評されました。
世界的巨匠アンドレイ・タルコフスキーの代表作『惑星ソラリス』がリマスター版で再登場。
『惑星ソラリス』の小説
『惑星ソラリス』は、ポーランドのSF作家スタニスラフ・レムのベストセラー長篇「ソラリスの陽のもとに」を映画化し、アンドレイ・タルコフスキー監督の名を不朽のものにした作品で、未知の生命体と接触し極限状態に置かれた人間の心理を独特な映像表現で描き、1972年の第25回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞。
難解なストーリーながら、惑星ソラリスの広大な自然や海、独特の浮遊感に満ちた演出や、光と水などの美しさを最大限に生かした映像美は、唯一無二の美しさがあります。
本作は、ソ連製SFの代表作であると同時に、人間の潜在心理の持つ力を巧みに描き出した傑作で、これまでのSF映画に見られない新たな地平を拓いた画期的作品です。
ロシアの名匠アンドレイ・タルコフスキー
ロシアの映画監督アンドレイ・タルコフスキーは、名作「戦艦ポチョムキン」で知られるセルゲイ・エイゼンシュテイン監督以降、ロシア映画界で最も影響力のある人物です。
1962年のヴェネツィア国際映画祭で『僕の村は戦場だった』により金獅子賞を獲得し、30歳で早くも世界的に有名になったが、彼の生涯はすべて検閲との戦いに費やされました。
ソ連での20年以上のキャリアの中で、タルコフスキーは6本の長編映画しか製作していない・・・その結果、彼は外国に亡命したが肺癌のために54歳の若さでパリで亡くなりました。
『惑星ソラリス』のあらすじ
近未来・・・未知の惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生した。
その調査のために、心理学者のクリスは地球を出発する。
到着したステーション内は荒れ果て、友人の物理学者は既に自殺しており、残る2人の科学者も怯えきっていた。
そして、クリス自身も数年前に自殺したはずの妻ハリーの姿を目撃し、衝撃を受ける。
だがそれは、人間の意識を反映して具現化させる ソラリス表面のプラズマ状の“海”の仕業だった・・・彼女はソラリスの “海”が送ってよこした幻だったのだ。
人間は、過去の出来事や故人の想い出を意識の奥底にしまいこんできた・・・。
惑星ソラリスの“理性をもつ海”は、想像を絶する独自の理性をもつ超知性体であり、その海は 人間の潜在意識を実在する形に変換する不思議な能力をもっていた。
超知性体の“海”は、人間の潜在意識を探り出して、それを実体化していたのである。
妻の自殺に悔恨の思いを抱いていたクリスは、遂には幻のハリーを愛するようになるが、科学者としての使命感と個人的な良心との相剋に悩まされる…。
そして、クリスはステーションを出て「ソラリスの海」と向き合う・・・そこには!?
『惑星ソラリス』のキャスト
ナタリア・ボンダルチュク、ドナタス・バニオニス、ユーリー・ヤルヴェト、ウラジスラフ・ドヴォルジェツキー、アナトーリー・ソロニーツィン、ニコライ・グリニコなどが出演。
狂気を帯びた幻想の旅
『惑星ソラリス』は、カラーとモノクロのシーンが交互に現れ ゆったりとスローテンポで先が読めない展開により、難解なストーリーが頭の中にじわじわと入り込んでくる。
俯瞰されたラストシーンが訪れるまでに、従来のSF映画をはるかに超越した感動的で、奇異な記憶や故郷に対する幻想が描き出される・・・このラストは様々な解釈が可能。
内容は幻想的な印象だが、登場人物の心理と行動がしっかりと描かれており退屈を感じさせない・・・旧ソ連映画ならではの、お粗末なセットが独特のリアリティを醸しだしています。
複雑な世界観と美しい映像・・・神秘的でカルト的要素を含んだこの映画は狂気を帯びた幻想の旅の記録でもあるようです。
作品概要
製作国:ソ連
監督:アンドレイ・タルコフスキー
上映時間:165分
劇場公開日:1977年4月29日・2023年 美しい映像でリマスターHD化
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