2022年5月に劇場公開された「シン・ウルトラマン」の予告編動画は、こちら
貴方にとって、幼き日のヒーローとは誰だろうか。
仮面ライダーか戦隊ヒーローか、或いはセーラームーンかプリキュアだろうか。
私にとって、ヒーローとはウルトラマンだった。
変身アイテムがピカりと光り現れる光の巨人たちに、ありきたりな表現かもしれないが、勇気と希望を貰った。
そんな光の国から初代ウルトラマンが地球へと訪れて50年以上の時が経った。
初代ウルトラマン以降、幾人もの光の巨人たちが地球へと訪れ、そして平和の為に戦ってくれた。
そして2022年、ここに新たなる光の巨人の物語が紡がれる。
それは様々な意味を込めたシンの名を関して再び紡がれる、光の星より初めて地球へと降り立った来訪者の物語。
幼き日、何もかも憧れていた彼が再び我々の前に帰ってきてくれるのだ。
ならば、迎えねばなるまい、称えねばなるまい。
―おかえりなさい、そして、ありがとうウルトラマン―
「シン・ウルトラマン」のキャスト
神永新二:斎藤工
浅見弘子:長澤まさみ
滝明久:有岡大貴
船縁由美:早見あかり
宗像 龍彦:田中哲司
メフィラス:山本耕史
声優
ウルトラマン:高橋一生
ゾーフィ:山寺宏一
ザラブ:津田健次郎
監督は、『進撃の巨人』、『シン・ゴジラ』の樋口真嗣
監督:樋口真嗣
企画 脚本:庵野秀明
準監督:尾上克郎
副監督:轟木一騎
監督補:摩砂雪
音楽:宮内國郎 鷲巣詩郎
キャスト陣に関してだが人気は勿論、実力派の俳優陣が揃った印象が強い。
特に神永役の斎藤氏とメフィラス役の山本氏の同じく外星人を演じながらも正反対な芝居は必見である。
続いてスタッフ陣だが、アニメ作品や特撮作品を少しでも鑑賞したがあるならば目にしたことがある錚々たる面々が揃えられている。
「シン」の名を冠する作品である以上、庵野氏が参加しているのは当然として、メタルヒーローシリーズに携わった尾上氏や、ヱヴァンゲリヲン新劇場版から庵野氏を支える轟木氏や鷲巣氏、長年庵野氏に連れ添った樋口氏や摩砂雪氏が制作スタッフに名を連ねている。
音楽に関しては原作となった初代ウルトラマンの楽曲を制作した宮内氏の楽曲を鷲巣氏がアレンジした物が多数流れており、「科特隊のテーマ」や「進め!ウルトラマン」が流れるシーンは、原作ファンならば思わず目頭が熱くなってしまうだろう。
余談だが、企画・脚本を担当している庵野氏は何とそれ以外にモーション制作にも携わっており、ネロンガ戦にてウルトラマンがスペシウム光線を放つシーンは庵野氏がモーションを担当している。
サッと構えて放つ従来の型とは異なる、大見得を切る様な独特のスタイルはファンならば是非とも見て頂きたい。
「シン・ウルトラマン」の主題歌・曲
「M八七」:米津玄師
アーティストとしては勿論、ダンスやアートにと多彩な才能で人々を魅せる米津氏が主題歌を担当。
タイトルに関してだが、ウルトラファンとしてはM七八ではないかと思うかもしれないが、これは原作である初代ウルトラマンにおいてM87星雲(実際に存在するおとめ座の方角にある楕円形の銀河)と脚本に記す筈が誤植でM78星雲と表記されてしまったという点が元ネタになっていると思われる。
特に「痛みを知るただ1人であれ」という1節は本作を象徴しているのは勿論、仮面ライダーの様な日本発のヒーロー作品を表す1節と言っても過言ではない。
1特撮ファンとしてこの歌詞は是非とも後世まで語り継いで行きたい。
「シン・ウルトラマン」のあらすじ
突如として日本各地へと巨大不明生物が現れた。
日本政府は巨大生物を【禍威獣】(かいじゅう)と呼称、通常兵器による正面攻略が困難な禍威獣対策チームとして各分野のスペシャリストを招集した【禍威獣特設対策室専従班】(かいじゅうとくせつたいさくしつせんじゅうはん)通称、【禍特対】(かとくたい)を設立し、禍威獣災害への要とした。
様々な禍威獣を相手に機転を利かせ対応していた禍特対だったが、7体目の禍威獣である【透明禍威獣ネロンガ】に対し有効な作戦を立案出来ず、危機へと陥る。
そんな中、突如として大気圏外より銀色の巨人が飛来し、ネロンガを撃退する。
現代の常識が通用しない禍威獣を更に上回る巨人が出現したことへの対策として、禍特対へ分析官・浅見弘子が配属され、作戦立案担当官・神永新二とバディを組むことになった。
度重なる禍威獣被害、それに加え銀色の巨人が到来した事で事態は更に混迷を深めていくのだった。
これは、他天体より飛来した1人の外星人と人間が織りなす、空想と浪漫、そして友情の物語
「シン・ウルトラマン」の登場人物
神永 新二(かみながしんじ)
禍特対の作戦立案担当官。警察庁公安部より出向。
寡黙で冷静沈着な性格だが、ネロンガ戦では逃げ遅れた子供を保護する為に率先して危険な現場に飛び込む勇気も併せ持つ。
その際、大気圏外からウルトラマンが飛来したことで生じた飛礫から子供を庇い、命を落とす。
彼の行動に心惹かれたウルトラマンは、彼を通して人間を理解したいと考え、神永と融合を果たし、結果として半分人間、半分ウルトラマンという狭間の存在となる。
ウルトラマンと融合後は基本的に意識の主導権はウルトラマンが持っていた。
その点から、実際のところ神永新二がその意志を持って行動していたのは初登場からネロンガ戦までとラストシーンのみである為、ある意味では主要人物の中で登場シーンが最も少ない人物と言える。
浅見 弘子(あさみひろこ)
禍特対の分析官。公安調査庁より出向。
提出した報告書から銀色の巨人の名称がウルトラマンとなった為、本作におけるウルトラマンの名付け親である。
ネロンガ戦にて突如として現れた銀色の巨人(ウルトラマン)の対策として禍特対へ出向となった。
所属元が似ているということで神永とバディを組むことになるが、彼女が禍特対へ出向いた時点で神永はウルトラマンと融合を果たしており、実際の所ではウルトラマンとバディを組んだことになる。
その為、意図せずだがウルトラマンが人間を理解する一端を担うことになった。
ウルトラマンを始め、外星人に振り回される役処となっており、ウルトラマンには体臭を嗅がれ、ザラブには純粋に命の危機に晒され、メフィラスには巨大化させられる。
仕事の為ならある程度は風呂に入らずとも耐えられる他、酒を飲むと意識を失ってブルーシートで寝てしまうという中々に太いメンタルを持った人物。
外星人であるウルトラマンの奇行とも取れる数々の行為を受け止める事が出来た一因はそこにあるのかもしれない。
滝 明久(たきあきひさ)
禍特対の非粒子物理学者。本来は城北大学理学研究科にて非粒子物理学を専攻している。
科学的見地から禍威獣攻略を試みていたが、ネロンガ戦以降は現代科学では説明の出来ない超常の存在を相手取ることになる為、随所にネガティブな姿勢が見受けられた。
その為、ゼットンとの最終局面ではその圧倒的な存在を前に一時は心が折れてしまう。
だが、ウルトラマンが残したベーターシステムの基礎理論を得た後、決意を新たに立ち上がり、世界各国の科学者たちとの国際会議を経てゼットン攻略の糸口を見出す。
作中を通し、人間の無力さを最も痛感し続けた彼が最後に人間の意地を見せる事となった。
船縁 由美(ふなべりゆみ)
禍特対の汎用生物学者。文部科学省より出向。
生物学的見地から禍威獣対応策を提案する。
学問の見地から禍威獣攻略に臨む点は滝と同じだが、彼とは違い禍威獣や外星人を相手取っても悲観的になることはなく、ゼットンとの最終局面でも折れることなく対応策を見出そうとしていた。
一説ではペギラ攻略の糸口を見出した女性生物学者は彼女ではないかとされている。
どんな時もマイペースな彼女だが、意外にもストレスに対して脆い一面があり、メフィラス戦後、とある事情から身柄を拘束された際はストレスが溜まった反動で大量の菓子を口にしていた。
田村 君男(たむらきみお)
禍特対の班長。防衛省防衛政策局より出向。
禍威獣出現の際、現場にて立案された作戦の最終決定の他、室長である宗像を通して政府の動きを察して現場に反映させる等、様々な役割を担う。
出向元の関係からか各国の諜報機関に知り合いがいるらしい。
余談だが、机の上には禍特対のマスコットキャラクターである「KATO太くん」の人形が置かれている他、パソコンの壁紙が猫になっている等、意外と可愛いもの好きの一面があるのかもしれない。(KATO太くんを可愛いと取るかどうかは貴方次第だが)
宗像 龍彦(むねかたたつひこ)
禍特対の室長。
禍特対と政府とを繋ぐパイプ役を担っており、班長の田村と共に胃を痛めかねないポジションである。
威厳ある人物かと思えば、ガボラ戦にて米軍からMOP2大型貫通爆弾を買い取った際は経費を国持ちにさせ様としたり、浅見がメフィラスに巨大化させられた際はガリバー旅行記と眠れる森の美女のコラボと評したりと意外とお茶目な部分がある。
「シン・ウルトラマン」の登場禍威獣(かいじゅう)
ネロンガやガボラは初代ウルトラマンからの登場だが、ゴメスからパゴスまでは初代ウルトラマンの前身に当たるウルトラQからの登場となっている。
本作において禍威獣と呼称される巨大不明生物だが、その実態はかつて星間戦争にて使用された生物兵器である。
シン・ウルトラマンの世界における大前提だが、この世界ではかつて星間戦争が行われ、知的生命体が絶滅しかけるという事態に陥っている。
その為、星間戦争にて使用する兵器は運用に難のある生物兵器に限定するという星間条約が結ばれた。
本編ではゴメスからパゴスまでが威力偵察や戦力分析用の生物兵器に辺り、ネロンガやガボラはそれらを発展させた極地制圧用の生物兵器である。
パゴスとネロンガ、ガボラに類似点が多いのは、こうした背景がある為である。(初代ウルトラマン撮影時、着ぐるみを流用していたことを設定に転用している)
これら地球にて眠っていた生物兵器が人間の環境汚染によって活動可能状態となり、それをメフィラスが目覚めさせ、日本を襲撃した。
星間戦争にて使用された生物兵器が地球に存在するということは、地球がかつて侵略された過去があるのかと思われるが、詳細は不明である。
また、何故禍威獣は日本のみを襲うのかという宗像の発言が作中において存在するが、これも理由は定かにはなっていない。
禍威獣が偶然にも日本に集中して眠っていた為なのか、或いは日本が外交上最も与しやすいとメフィラスが考えた為に禍威獣を日本に集中させたのか、現在もファンの中で議論は続いている。
ゴメス
巨大不明生物1号。自衛隊の総力戦によって駆除される。
原作に当たるウルトラQにおいてゴジラの着ぐるみを流用した逸話を基に、こちらはシン・ゴジラで登場したゴジラ第四形態の形状検討用のデザインを加筆修正したモノとなっている。
マンモスフラワー
巨大不明生物2号。官民学の連携により火炎放射と炭酸ガスによって駆除される。
ウルトラQでは丸の内に登場したが、本作では東京駅に場所が変わっている。
ペギラ
巨大不明生物3号。冷凍ガスを吐き、東京を氷漬けにしたが女性生物学者が弱点を発見したことで駆除された。
【飛翔禍威獣 ラルゲユウス】
巨大不明生物4号。ラルゲユウスより禍威獣という呼称が定着した。
暴風を巻き起こし各地に甚大な被害を生んだが、駆除には失敗しており現在もその行方は不明となっている。
ステルス機能が搭載されているのではと推察されているが、詳細は定かではない。
溶解禍威獣 カイゲル
巨大不明生物5号。初出動した禍特対と自衛隊の連携攻撃によって駆除される。
原作であるウルトラQではゴーグという名称だったが、こちらではカイゲルという名称に変更されている。
放射性物質捕食禍威獣 パゴス
巨大不明生物6号。出現した際は地底禍威獣パゴスであったが、放射性物質を捕食する性質から改名された。禍特対の指揮により凍結作戦が実行され駆除された。
透明禍威獣 ネロンガ
巨大不明生物7号。首都圏郊外に出現し、発電施設を襲撃し電力を奪った。
禍特対の指揮により電力を遮断されると逆上した様に暴れだし、別の電力源を求めて行動を開始。
移動速度自体は決して素早くは無い為、放電と吸電を兼ねる頭部を目標に多連装ロケットシステムから誘導弾を発射するが、放電攻撃により全弾迎撃されてしまう。
八方塞がりかと思われたが、大気圏外より飛来したウルトラマンのスペシウム光線の直撃を受け爆散。作中では唯一スペシウム光線で決め手となった存在である。
生物兵器としては侵攻先にてエネルギーを奪い、放電を以って制圧することを目的としている。
地底禍威獣 ガボラ
巨大不明生物8号。頭部に在るヒレは閉じることでドリルとなり、地底を掘り進むことができる他、2本の尻尾も先端がドリルとなっている。
山間部に突如として出現し、地下核廃棄物貯蔵施設を目指し地中を進行する。
その際、体内より放射能を排出しており、地表で駆除することはリスクが高いと判断した禍特対は大型貫通爆弾MOP2を利用し駆除を試みるが効果は認められなかった。
その後も進行し続けたガボラは貯蔵施設へと到達するが、寸での所でウルトラマンが到来し、戦闘へと突入する。
ドリルを使用した接近戦を仕掛けるがウルトラマンがこれを捌くと、パゴス同様の放射性熱線を吐くが、ウルトラマンが全身を以ってこれを除去。
最期は至近距離にて繰り出されたウルトラマンの打突により頭部を粉砕され、絶命。
遺体は天高く持ち去られた。
生物兵器としては侵攻先の廃棄物処理及び制圧が目的となっている。
「シン・ウルトラマン」の登場外星人(がいせいじん)・怪獣
ウルトラマン
光の星より来訪した外星人第1号。
エネルギー源である超重元素スペシウム133を転用し、光波熱線による攻撃や音速を超える速度での飛行を行う。
デザインは成田亨氏の想いを反映させたモノとなっており、カラータイマーやのぞき穴が排されている。
地球を監視する目的で地球へと訪れたが、ネロンガ戦にて人々の前に現れる。
その際、自身の着地の衝撃が原因となって生じた飛礫から子供を庇って命を落とした神永の行動に心惹かれ、人間を理解したいと考え、光の星の掟に逆らい神永と融合を果たし、狭間の存在となる。
普段は神永の姿で生活しているが、有事の際にはベーターシステム(端的に言えば対象を巨大化させる技術)の起動装置であるベーターカプセルを点火させウルトラマンに変身を遂げる。
シン・ウルトラマンが地球に来た理由は諸説あり
- 監視対象が生物兵器(禍威獣)によって滅ぶことをヨシとしなかったのではないか
- ゴメス等の生物兵器(禍威獣)に毅然と立ち向かう人間を監視している内に、いつの間にか心惹かれており、意図せず飛来してしまったのではないか
- 地球に来訪した際にネロンガが起動していた為、とりあえず現場に赴いたのではないか
など、多岐に及んでいるが詳細は定かになっていない。
神永と融合後は禍特対に合流した浅見とバディを組むが、地球及び人間に関する情報収集を優先し、単独行動を頻繁に行った為、浅見には愛想を尽かされていた。
ガボラ駆除に臨んだ際は核廃棄物貯蔵施設を守りながらの戦闘となり、ガボラが吐く放射性熱線も身を挺して除去しつつ、事前にガボラ体内に大量の放射性物質が存在することを禍特対メンバーから聞き及んでいた為にスペシウム光線は使用せず、打突による決着を図った。
ガボラ駆除後、外星人2号としてザラブ星人が人類の前に姿を現した際には、神永の元同僚である加賀美を通じてザラブの企みを検知する。
しかし、これをザラブが察知したことで拉致監禁され、更にウルトラマンの正体が神永であることが全世界にリークされてしまう。
加えてザラブが偽ウルトラマンとして破壊行為を行ったことで一時は人間の敵となってしまうが、事前に用意していた策が功を奏し、浅見によって救出された後、ザラブと相まみえる。
肉弾戦の他、飛行能力を駆使した空中戦を東京上空にて展開した後、ウルトラ光輪(八つ裂き光輪)にてザラブを切断し勝利する。
ザラブの一件により、浅見を始めとする禍特対メンバーとの仲が深まる一方、人間社会に彼の居場所が無くなってしまう事態となった。
続いて、ベーターボックス(端的に言えばメフィラス版ベーターカプセル)を利用した人類の兵器転用を目論むメフィラス星人が人類の前に現れる。
浅見を巨大化させ、技術力の違いを見せつけ、人類の心を掌握するメフィラスに対し、同じ外星人として対話を試みるが、その際これまで登場した禍威獣は自身を誘き出す為のモノであったこと、そして神永との融合を果たしたことで人類とベータ―システムとの親和性があることを知り、今回の計画を実行した旨を告げられ、表情にこそ出さないが後悔の念に責められる。
時同じくメフィラスより地球の為と称し共闘を持ちかけられるが、人類は人類の力で成長を遂げるべきという判断の下、これを拒否する。
いずれにせよ、現在の人類にベーターボックスを得ることは危険と考え、禍特対メンバーに協力を要請し、メフィラスが日本政府へベーターボックスを引き渡す式典を急襲する。
その際、プランクブレーン内(端的に言えば別次元)に隠されたメフィラスのベーターボックスを捜索するに当たり浅見の体臭を頼りにするのだが、後にメフィラスに変態行為と評される。
メフィラスからベーターボックスを強奪した後、直接の戦闘となり互いに光波熱線を撃ち合う展開となるが、ここで変身時にプランクブレーン内からの非コンパクト化(端的に言えば全長60mの本体を呼び出すこと)への負荷及び、変身後は神永の生体情報を維持する上でスペシウムエネルギーを急速に消耗するという弱点を突かれてしまう。
ボディカラーがエネルギー枯渇寸前を示す緑となるが、撃ち負ける寸前、新たなる光の星の使者であるゾーフィが来訪したことをメフィラスが察知したことで事態は一変。
戦闘を中断、ベーターボックスを回収した後、メフィラスは地球を去ったが、この一件を機に人類がベーターシステムと親和性のある知的生命体であるということがマルチバース(端的に言えば別次元を含む宇宙の総称)に知れ渡ることになってしまった。
ベーターボックスを巡る事件の後、新たに光の星より来訪した同族のゾーフィと接触。
ゾーフィはウルトラマンへ帰還を促す役目の他、人間の監視及び裁定の為に地球へ天体制圧用最終兵器ゼットンを持って来訪したと告げる。
人類の為に命を賭してゼットン破壊に臨むが、ゼットンが繰り出す圧倒的な攻撃の前に成す術なく敗北、傷を癒す為に深い眠りへと着く。
人類は座して死を待つのみかと思われたが、ゼットンとの戦闘に臨むに当たり、事前にベーターシステムを人類の言語に書き換えたデータを残していたことが功を奏し、滝を始めとする世界各国の科学者の手によってベーターシステムを使用したゼットン攻略作戦が立案された。
ゼットンが火球の発射シークエンスに突入後、これを察知し、眠りから目覚める。
その直後、滝から完成したゼットン攻略作戦を説明される。
手順としては、ベーターカプセルを点火して変身した後、再度点火することで6次元を通じてプランクブレーンと接続、その際に発生する重力をゼットンに集中させ、余剰次元と熱量が使える僅かな時間が生まれた瞬間にゼットンを別のプランクブレーンに飛ばすという内容であった。(端的に言えば変身後、再度ベーターカプセルを点火させ0.001秒以内にゼットンをブン殴って別次元にブッ飛ばすというモノ)
しかし、それは自身もゼットンと共に別次元へ飛ばされ、命を失う可能性が極めて高い作戦であった。
田村から身を案じられるが、あくまでも人類の存続を最優先とし、自身の命を顧みることなくゼットンとの最終決戦に臨んだ。
作戦は成功し、ゼットンを別のプランクブレーンへと吹き飛ばすことは出来たが、自身もまたプランクブレーン内を漂流する事態となる。
その後、プランクブレーン内を捜索するゾーフィがウルトラマンより発せられた「生きたい」という信号を受信したことによって発見され、ゾーフィと再度接触。
対話の結果、光の星へは帰らず自身の命を神永へと渡し、身体はプランクブレーン内に留める決断をする。
神永と融合を果たし、人間を理解しようと考えたウルトラマンであったが、その結論は「分からない」であった。
人間など比較にもならない能力を有するウルトラマンが「分からない」と評する人間。そんな存在に心惹かれ、己の命すら差し出すウルトラマンを見やり、ゾーフィは「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」と呟く。
果たして人間とウルトラマンの道が再び交わる日は来るのか、全ては彼が愛した我々の手に委ねられた。
願わくは、痛みを知るただ1人であろうとした彼と再会する日が来ることを望む。
本編では浅見が名付けたウルトラマンと呼称される彼だが、ゾーフィとの会話から真名はリピアであると判明する。
名前の由来はヒメイワダレソウの別名であると思われる。
繁殖力が高く、環境省からは既存の生態系を乱す重点対策外来種に指定されているが、その一方で雑草除けとなるグランドカバーとして「庭の守護者」とも呼ばれている。
花言葉は「絆」「誠実」と本編の彼を体現する様なモノである。
ザラブ星人
ウルトラマンに続いて現れた外星人2号。
現代科学をはるかに凌駕する技術力を背景に日本政府へ接触し、友好条約締結を求めるが、条約の内容は不平等極まりないモノであった。
加えて諸外国との接触を示唆することで国家間を緊張状態へ陥れ様とする不穏な動きを見せる。
言葉巧みに暗躍する彼の実態は、マーカーが検知した天体へ赴き、その天体の知的生命体を滅ぼすことを目的とした破壊工作員であった。
諸外国を煽り、地球人同士の自滅を企む彼は、その実態を見抜き行動を開始した神永(ウルトラマン)を催眠状態にすることで拉致監禁し、行動不能状態とした後、神永=ウルトラマンであるリーク動画を公開する事で人心を揺さぶり、更に自らをウルトラマンに擬態させた「偽ウルトラマン」として破壊行動を行うことで人類にウルトラマンを敵だと認識させることに成功する。
全てが彼の掌の上かと思われたが、襲撃を予想していた神永(ウルトラマン)がベーターカプセルを浅見に預けていたことが彼の計画を破綻させた。
神永の元同僚である加賀美を通じ、神永が監禁された場所を突き止めた浅見は、単身潜入し、これを救出。
その後、浅見より手渡されたベーターカプセルを神永が点火させウルトラマンへと変身したことで直接対決となってしまい、電磁波を用いて応戦するも地力の差で敗北を喫する。
神永を監禁した後、彼がベーターカプセルを持っていないことを知るとその場に捨て置く判断を取ったザラブだが、この時点で命を奪えば良かったのではないかという意見もある。
が、しかしその場合、神永という楔を取り払ったウルトラマンとの直接対決となる可能性がある為、それを避ける意味で捨て置くという判断を取ったのではないだろうか。
メフィラス星人
ウルトラマンやザラブよりも先んじて地球へ来訪した外星人0号。
人間の姿を模した状態で人類の前に姿を現し、紳士的な態度で振舞う。
ことわざや四文字熟語を多用し、その際は語尾に「私の好きな/苦手な言葉です」と付けるのが口癖。
ウルトラマンよりも先に地球へ来訪していたせいか、言葉だけではなく飲食などにも慣れ親しんでおり、ウルトラマンと居酒屋にて会話する場面は強烈な印象を与えた。
(「割り勘でいいか?ウルトラマン」は思わず口にしたくなる台詞である)
ザラブ星人の騒動が収束した後、デモンストレーションと称して浅見を巨大化させ、技術力の違いをまざまざと見せつけた後、日本政府へ接触。
禍威獣やザラブの様な外星人の襲来に対しての自衛手段を持つ必要性を日本政府へ説くと共に、自身が所有するベーターシステム起動装置であるベーターボックスを無償で提供すると申し出る。
見返りは自分を上位存在として認めるという1点のみ。
禍威獣や外星人の脅威に晒される日本において、この条件は破格であり、直ぐにもメフィラスの申し出を受ける調停式の準備が整っていく。
しかし、その裏ではベーターシステムによって巨大化した人類を生物兵器として運用し、その管理を独占するという思惑があった。
これをウルトラマンに看破されるが、人類にも自衛能力は必要と説き、共に地球の為に働かないかと共闘を申し出るが、人類は人類の英知によって進化していくべきという考えの下、ウルトラマンがこれを拒否したことで交渉は決裂。
その後、ベーターボックスを日本政府が受領する調停式当日、ウルトラマンによりプランクブレーン内に秘匿したベーターボックスを浅見の体臭を辿って捜索、強奪されたことで敵対。
双方巨大化した状態で相対し、光波熱線の撃ち合いとなるが、ネゲントロピーを利用する自身とは違い、複数の要因が重なる事でエネルギーを急速に消耗するというウルトラマンの弱点を突くことで優勢となる。
- ネゲントロピーとは?
-
端的に言えば吸収と放射を繰り返す循環型エネルギーシステムを指します
- エントロピーとは なにか?
-
不可逆性や不規則性を含む、特殊な状態を表すときに用いられる概念である。 簡単にいうと、「混沌」を意味する
あと一歩でウルトラマンを撃破するという所まで追い詰めるが、光の星よりゾーフィが新たに来訪した事を察知すると戦闘を中断し、ベーターボックスを回収、地球を去った。
当初の目的では禍威獣を使ってウルトラマンを誘い出し、禍威獣をウルトラマンに撃破させることで外星人には敵わないという無力感を人類に与え、心が折れた所に出現し、交渉を経た後に地球を手に入れようとしていたのではないかと思われるが、神永とウルトラマンの融合を目の当たりにしたことでベーターシステムを使った人類の生物兵器転用計画を思いついた。
地球や人類、その文化等に愛着を持っている節は随所に見受けられるが、これはペットや家畜に向けるモノと近しく、ゾーフィの来訪を察知した際はトラブルに巻き込まれるリスクを考慮し、一切の躊躇いなく手を引く辺り、ウルトラマンが持つ人類への興味、愛着とは明確に違うモノである。
紳士的な立ち振る舞い、独特の言葉遣い、妙に地球に馴染んだ言動、それでいてユニークな一面も併せ持つ非常に味の濃いキャラクターとなっており、筆者も含め彼に心奪われたファンは多いのではないだろうか。
余談1:ベーターボックスを点火させるとウルトラマンジャックが変身する際と同様の閃光が起こるのだが、これは単なるパロディか、それとも何か繋がりがあるのだろうか。
余談2:ウルトラマンが浅見の体臭を嗅いだことを変態行為と評していたが、この知識は一体どこで学んだのだろうか。
ゾーフィ
光の星の掟を破ったウルトラマンに代わって地球へ来訪した4人目の外星人。
デザインはウルトラマン同様にカラータイマーを排したモノとなっている他、カラーリングは成田亨氏が晩年に携わっていた作品をモチーフとした金と黒が使用されている。
ゾーフィという名前に関してだが、ウルトラシリーズのファンの方々には「ゾフィー」ではないのかと思う方も多いだろう。
これに関しては初代ウルトラマン放送当時に発売された児童誌に掲載された誤情報が元ネタになっていると思われる。
誤情報が記載された当時の児童誌には宇宙人ゾーフィと記載され、ゼットンを操って暴れまわるという初代ウルトラマンにおける作中の活躍とは全く異なる情報が記載されており、これを庵野氏が逆手に取って本編に使用したのではないだろうか。
ウルトラマンと同じく人類の監視者としての役割を持ちながら、同時に裁定者としての役割も併せ持ち、その性格は光の星の掟に忠実で躊躇いが無い。
ウルトラマン及びメフィラスによって人類はベーターシステムと高い親和性があることがマルチバースに存在する知的生命体に知れ渡った。
これにより人類を巡って争いが生じることを危惧した光の星は、人類を天体制圧用最終兵器ゼットンにて太陽系ごと消滅させる裁定を下し、ゾーフィはその裁定を実行する為に地球へ来訪した。
メフィラスが地球を去った後、ウルトラマンに接触。
掟を破り人間と融合した罰を光の星にて受ける様に諭すと共に、光の星の裁定をウルトラマンに告げ、彼の目前でゼットンを起動した。
その後は静観を続けていたが、ゼットン攻略作戦にてゼットン諸共プランクブレーンへ追放されたウルトラマンを救出。
その際、ゼットンをプランクブレーンに追放するという形で攻略した人類の英知と勇気を目の当たりにしたことで感動し、滅ぼすには惜しい存在と認識を改めたことをウルトラマンに告げた。
ゾーフィ個人としてはウルトラマンを光の星へ連れ帰ろうと最後まで説得を試みたが、神永を生存させる為には死をも受け入れるというウルトラマンの意志を尊重し、最後はウルトラマンと神永を分離させ、神永を元の次元へと帰還させた。
人間と融合を果たし、人間を理解しようとするも、知れば知る程に人間という生命体は「分からない」と評するウルトラマン。
そんな分からない存在の為に己の命すら擲つウルトラマンを見て、本作のキャッチコピーである「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン」と彼が呟く場面は非情に印象深いモノである。
「シン・ウルトラマン」の天体制圧用最終兵器
ゼットン
光の星よりゾーフィによって持ち込まれた最終兵器。
地球上にて起動後は自律プログラムが作動し、衛星軌道上にて変形を開始。
変形完了後は地球へ向け1テラケルビン(1兆度)の火球を放つことで地球は勿論、太陽系そのものを数光年先まで消えることの無い業火に包む。
庵野氏によれば上記に加えて三次元空間の直径200光年を消失させるとのことで、対象天体に生息する知的生命体を細胞の1辺すら残さず消滅させる文字通りの最終兵器である。
設定上ではあるが、ゼットンの耐久システムはこの1兆度の火球に耐えられるレベルらしく使い捨ての兵器ではないとのこと。
実際に本編では地球上に現存する全ての使用可能な熱核兵器をゼットンに向けて放つのはどうかと禍特対で協議されるが、TNT火薬換算で200万ktの火力を以ってしてもまるで足らないとウルトラマンは評していた。
火球以外にも攻撃機能を搭載しており、単身破壊を試みたウルトラマンを軽々と返り討ちにしていた。
ウルトラマンすら太刀打ちできない規格外の存在であるが、ウルトラマンからベーターシステムの基礎理論を授かった滝を中心とする世界各国の科学者たちが導き出したゼットン攻略作戦によってプランクブレーンに追放することに成功。
この一連の流れを目の当たりにしたゾーフィはその考えを改めるに至る。
- 余談1:プランクブレーンに追放したということは、言ってみれば別次元に飛ばしたということであり、果たして飛ばされた先の次元は無事なのだろうか。
- 余談2:1兆度の火球というトンデモ攻撃を繰り出す本作のゼットンだが、実は初代ウルトラマンに登場するゼットンも同じく1兆度の火球を放つ。これまでは1兆度の火球なぞ放てば周囲諸共蒸発してしまうと科学考察において揶揄されてきたゼットンだが、今回は1兆度の火球を放てばどうなるかという点を詳細に設定された状態での登場となった。
「シン・ウルトラマン」の感想と結末
幼き日から憧れた初代ウルトラマンが、新しい形で再び我々の前に降臨したその嬉しさは筆舌にし難く、キャスト及びスタッフの方々に最大の賛辞を贈りたい所です。
取るに足らない存在である人間という生命体を、その全力を以って肯定してくれる彼の姿は何度思い出しても涙が込み上げ、胸が熱くなってしまいます。
ウルトラマンは終盤にて人間を「分からない」と評していました。
分からないけど、惹かれる。これは我々も同じではないでしょうか。
実際、私も何故ウルトラマンに惹かれるのか、と問われた場合、アクションなのか、それとも善悪二元論だけではない命の在り方を描く物語の部分なのか、或いはそれ以外の部分なのか、考えれば考える程に答えは分かりません。
しかし、ウルトラマンが人間に惹かれた様に私もまたウルトラマンに惹かれるのです。
作中にてウルトラマンは神永の身体を通して「ウルトラマンは万能の神ではない。君たちと同じ、いのちを持つ生命体だ。」と発していますが、容姿や能力は違えどもウルトラマンも我々も同じく分からないモノに惹かれる生命体なのです。
だからなのでしょうか、死地に戦う彼を「頑張れ!」と応援してしまうのは。
長くなりましたが、最後は作中にて一度も使われることの無かった言葉を用いて彼に感謝を述べたいと思います。
本当に、本当にありがとう、ウルトラマン
映画「シン・ウルトラマン」のレビューを調べてみた
俺はウルトラマンの撮影中前十字靭帯断裂で途中降板、最終話にアクション出来ない俺に座ってていいからムサシとの別れのシーンをやって欲しいと、嬉しかった。 3歳だった息子といつかこの舞台に帰って来よう、そして20年息子はシン仮面ライダーの舞台…
ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーの「シン」は一期一会と思ってたんですが、意外や意外けっこう考えてらっしゃるんでねww。実現できたら嬉しいですね~
シン・ウルトラマン見てるけど、かなりビーストバインドっぽい感があるね。おもしろーい(/・ω・)/
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