この記事は、スティーヴン・スピルバーグ監督による1998年の戦争映画『プライベート・ライアン』について紹介しています。
この映画は、ノルマンディー上陸作戦の後、行方不明の落下傘兵ジェームズ・ライアン二等兵を救出するため、ミラー大尉と彼の部下たちが敵地を突き進む様子を描いています。
映画は、実際の戦争の悲劇を背景に、家族の唯一の生き残りであるライアンを救うというアメリカ軍の方針を基にしています。
1998年に劇場公開された『プライベート・ライアン』の予告編動画は、こちら
ライアン二等兵は、ノルマンディ上陸作戦の前日に敵地に侵入するも行方不明となった。
彼の4人兄弟のうち他の3人は相次いで戦死していた・・・アメリカ陸軍参謀総長は、ライアンだけは無事に家族のもとに送り届けるために、彼を救出するための専用部隊を組織する。
『プライベート・ライアン』は、スピルバーグ監督が実話にヒントを得て描いた戦争巨編
ライアン二等兵を救出せよ!
1944年6月・・・連合軍のノルマンディ上陸作戦は成功に終わったものの、激戦に次ぐ激戦で米軍に多くの死傷者を出していた。
そんな中、オマハビーチでの攻防を生き延びたミラー大尉に、落下傘兵ジェームズ・ライアン二等兵を戦場から探しだし、母親が待つ故郷へ帰還させよという命令が下された。
危険渦巻く敵地を行く
ライアン二等兵の救出作戦の指揮を任されたミラー大尉は、7名の部下を率いて危険が渦巻く敵地を突き進んでいく。
ミラー大尉と彼が選んだ7人の兵士たちは、1人を救うために8人の命が危険にさらされることに疑問を抱きながらも戦場へと向かっていく。
なぜライアンを救う?
第二次世界大戦中に、アメリカ海軍軽巡洋艦ジュノーに「是非一緒の軍艦に!」と志願したサリヴァン家の5人兄弟が日本海軍の潜水艦に撃沈された際、全員戦死してアメリカの世論が嘆き悲しんだ事件がありました。
これによりアメリカでは1948年に「ソウル・サバイバー・ポリシー」制度が導入された。兵役の家族が多く戦死した場合、最後に生存する息子を保護するという制度。
つまり戦争中兄弟の生き残りは、絶対に助けなければならなかったのです。
ライアンは4人兄弟ですが、既に3人の兄が戦士したので、ライアン二等兵を戦場から助けるように指令が下されたのでした。
原題「Saving Private Ryan」の意味は?
Private(プライべーと)とは、アメリカ陸軍の階級名称であり、原題「Saving Private Ryan」は「兵卒ライアンの救出」を意味します。
ノルマンディ大激戦の陰に、選ばれた8人の兵士たちによる たった一人の新兵を救出する作戦が描かれる。
ヨーロッパ解放の侵攻作戦
ノルマンディ上陸作戦は第二次世界大戦中、ナチスドイツに占領されたヨーロッパ諸国を解放するために連合軍が行った侵攻作戦で、フランスのコンスタン地方に実在するノルマンディ海岸を上陸ポイントとして、200万人もの兵士が上陸し侵攻を開始しました
上陸作戦はナチスドイツの激しい抵抗にあい、多くの死者を出す結果に・・・しかし2か月の戦闘の後、連合軍がドイツ軍を撃退しノルマンディ地方の制圧に成功しました。
度肝を抜くオハマビーチの惨劇!
オープニング20分で描かれた「ノルマンディ上陸作戦」のオハマビーチでの戦闘シーンは限りなく本物に近い演出がなされ、まるで現地の戦場にいるかのような映像が撮影されました。
スピルバーグは『シンドラーのリスト』(1994年)や、『1941』(1979年)など戦争映画の名作を過去にも撮っていて、本作は4作目の戦争映画になります。
アカデミー賞で5部門制覇!
戦争映画の名作とも言われる本作は、第71回アカデミー賞で、監督賞・編集賞・撮影賞・音響賞・音響編集賞の5冠に輝きました。
『プライベート・ライアン』あらすじ
アメリカ軍はノルマンディ上陸作戦を成功させたものの、ドイツ軍からの激しい攻撃を受けて多くの戦死者を出してしまった。
そこへアメリカ陸軍参謀総長ジョージ・マーシャルの元に、1件の報告が届いた。
それは、ライアン家の兄弟4人のうち、3人が戦死したという・・・。
そこでアメリカ軍のミラー大尉に、ある命令が下った。
一家を全滅させないために末っ子のジェームズ・ライアンを救出して帰還せよ、という命令。
ミラー大尉は7人の部下を従えて、ジェームズ・ライアンの捜索へと移行した。
しかし、そこには予想だにしない困難が待ち受けていたのだった。
果たしてミラー大尉の救出は、成功するのだろうか……。
キャスト
トム・ハンクス、エドワーズ・バーンズ、マット・ディモン、トム・サイズモア、バリー・ペッパー、アダム・ゴールドバーグ、ヴィン・ディーゼル、テッド・ダンソン他が出演。
戦争映画の金字塔
危険な戦場・・・8人は1人の兵を捜し出し、帰還させるために自らの命をかけて戦う。
そして、一人また一人と仲間を失っていく。
”なぜ、顔も知らない、会ったこともない二等兵の為に、命を危険にさらさなければならないのか?”・・・誰も喜んで危険を冒したり人を殺したりなんてしたくない!
でも「何か」の為に、誰かのために、誰かがやらなければいけない。
『プライベート・ライアン』は、リーダーのミラー大尉をトム・ハンクスが演じ、人間味のある演技を通して壮絶な戦争の歴史をリアリティに感じながらも胸に迫るものがあります。
作品概要
製作国:アメリカ
上映時間:170分
劇場公開日:1998年9月26日
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