2022年6月に劇場公開された『PLAN75』の予告編動画は、こちら
映画『PLAN75』は、この架空の制度を媒介に ”生きる”という究極のテーマを全世代に問いかけるディストピア的な衝撃作!
死にませんか!?
「PLAN75」 それは、75歳から自らの生死を選択できる制度・・・いつでも死ねます!
夫と死別し、ひとり静かにアパートで暮らす78歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが・・・ある日突然!高齢を理由に解雇されてしまう。
そして、家主からも賃貸の更新はしないと告げられた。
住む場所も失いそうになった彼女は、「PLAN 75」の申請を検討し始める。
プラン75とは?
「PLAN75」それは、75歳以上の高齢者が自らの生死を選択できる・・・国が支援する制度!
少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本では、満75歳から生死の選択権を与える制度が、国会で可決・施行された・・・これが、日本国・超高齢化問題の解決策だ!
映画『PLAN75』は、年齢による命の線引きというセンセーショナルな題材を細やかな演出とともに描き、国が支援する生死の選択制度「プラン75」施行後の日本を舞台に、命の選択を迫られる女性の姿を描く・・・形を変えた「姥捨て山」プラン か?
棄老伝説「姥捨て山」
『まんが日本昔ばなし うばすて山』は、口減らしなどのために高齢の親を山に捨てることとなった息子と、その親の物語で『楢山節考』(1958年)などの映画もあります。
村の年寄りは70歳になると「楢山参り」という掟に従い、深山に捨てられるのです。
「姥捨て」の実際は日本国内にあったという公的記録はないが、民間伝承や姥捨て由来の地名が各地に残っています。
「姥捨て」は、”年老いて働けなくなった者は役に立たないから、山に捨てよ” という非情な掟なのです・・・年とって、役立たずになった人は去れというサラリーマンと同じ!?
「プラン75」 ご利用は計画的に!
本作で描かれた架空の制度「プラン75」は、財政を圧迫する高齢者を間引くために、早期退職ならぬ早期死亡を勧める制度・・・75歳以上の方なら計画的に利用できるのデス(死)。
とんでもない制度!と 思いつつも本作で映し出されるディストピアは、現実の世界と紙一重のリアル感があり、他人事とは思えないその切実感が映画のヒットに反映されています。
公開3週目で興収2億円を突破!
2022年6月17日に全国90館で公開された『PLAN75』は、各地の映画館で満席の回が続出し、公開8日目で興収1億円を突破!その後、上映館数が142館まで増え、公開3週目で遂に興収2億円を達成したのです。
客層は60代のシニア層が中心で、本作が描く現実に激しく呼応していることがわかります・・・『PLAN75』は早川千絵監督が近未来の日本を静かに、そして悲観的に描いています。
監督を務めたのは、本作が初長編作となる早川千絵が脚本も兼務しました。
『PLAN75』は、第75回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品し、初長編作品に与えられるカメラドール・スペシャルメンション(次点)に選ばれました。
『PLAN75』のあらすじ
2025年・増えすぎた老人が国の財政を圧迫し、若者による老人襲撃事件が相次いでいた。
速いスピードで少子高齢化が進んできた日本では、超高齢化社会に対応すべく75歳以上の高齢者が自ら死を選び、それを国が支援する制度「プラン75」が可決・施行された。
「プラン75」を申請すると10万円が貰え、その金で最期に贅沢もできるのです。
運用開始から3年・・・高齢者の間では自分たちが早く死ぬことで国に貢献するべきという風潮が にわかに広がりつつあった。
78歳の角谷ミチは、夫と死別後ホテルの客室清掃の仕事をしながら、賃貸アパートで長年一人で暮らしてきた。
だが ある日突然!高齢を理由に解雇されてしまう。
更に、今住んでいるアパートの家主からも 賃貸の更新はしないと告げられた。
住む場所さえも失いそうになった彼女は、「プラン 75」の申請を検討し始める。
市役所の「プラン75」申請窓口で働いている岡部ヒロムと成宮瑶子は、国が作った制度に対して何の疑問も抱かずに、業務に邁進する日々を送っていた。
だが岡部ヒロムは、叔父が「プラン75」の申請にやってきたことから動揺を隠せなかった。
一見合理的に思えるこの制度によって、様々な難局に直面するミチたちは、果たしてどういった選択をするのか?
生死の選択権を選べる制度「プラン75」・・・命の価値は、誰によって決められるのか!
『PLAN75』のキャスト
主演は、角谷ミチ役で倍賞千恵子が演じ、他 磯村勇斗、たかお鷹、河合優実ステファニー・アリアン、大方斐紗子、串田和美らが共演。
映画『PLAN75』は、”姥捨て山”の物語を現代に置き換えたかのような、衝撃のドラマ!
自己責任で生死の選択権を選べるといいながら、このプランはある種の強要ともいえます。
75歳になったら自らの生死を選択できる制度『PLAN75』が、本当に可決・施行されたらこのプランに申し込むだろうか?・・・ ”生きていくか、死ぬか それが問題だ”
ラストでは、主人公のミチが生きようと決意したかのような表情で夕日を見つめます・・・。
作品概要
製作国:日本
監督:早川千絵
上映時間:112分
劇場公開日:2022年6月17日
コメント
コメント一覧 (1件)
幸せかどうかなんて、他人が決めることではない。まして国家が決めることではない。「あんまりだ」と、思った。78歳のミチは追い込まれて「プラン75」の契約をしたのではなく、「プラン75」がミチを追い込んでいったのだと思う。「プラン75」があるから、高齢を理由にクビにしても、アパートを追い出しても良いという風潮になったのだろう。国が決めること、国の後押しするプランであることが、半ば死を強要している。そして、身内でなければ、この制度は合理的と思っている人がほとんどなのだ。そんな中、若者の中にも、これがおかしいと思う人が現れる。事務的に人の死が決められていく中で、ミチと成宮瑶子の心が通い合う場面がとてもあたたかい。
この映画は、高齢化社会の日本の究極の高齢者対策と人の生きた温かい心を通して、生死はだれにも犯すことのできない自分自身の権利であると語っている。