2021年12月に劇場公開された『マクベス』の予告編動画は、こちら
“お前は王になる” という魔女の予言を聞いたスコットランドの将軍・マクベスは現王を暗殺し その座につくが、権力の重圧と執着により また本人も錯乱していく…。
11世紀のスコットランドを舞台に、ウィリアム・シェイクスピアが17世紀に書いた悲劇をジョエル・コーエン監督が全編モノクロで映画化。
シェイクスピアの四大悲劇
ルネッサンス時代イギリスで一世を風靡し、演劇史に残る名作を次々と書いたウィリアム・シェイクスピア。
執筆から400年以上も経っているにも関わらず、名作『ロミオとジュリエット』など、シェイクスピア作品は 世界中で愛され、映像化されてきました。
中でも、シェイクスピアの四大悲劇『ハムレット』『オセロー』『マクベス』『リア王』は有名で、現在でも古典劇の代表として映画や舞台が上演されています。
四つの悲劇の物語!
その物語は「復讐にまつわる悲劇」・「愛する妻を死に追いやった男の悲劇」・「真の愛を見抜けなかったリア王の悲劇」・「血塗られた裏切り」などによる四つの悲劇が描かれ、人間の生きざまに対する普遍的なメッセージがあります。
そして この4作品に共通している悲劇の特徴は「裏切りが招く死」であると解釈されます。
特に、『ハムレット』は 人々の裏切りが裏切りを呼び 当事者全員が命を落とすという結末は…正に「悲劇」です!
四大悲劇の原点!『ハムレット』
『ハムレット』は、四大悲劇の中で最も人気がある作品と言われ ハムレットが劇中で悩む
”生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ“ という名言があります。
このセリフ…映画を観る前に ”この作品を観るべきか、観ないか、それが問題だ”…などと。
恐ろしい物語!『マクベス』
『マクベス』は 他の悲劇とは一線を画しており、恐ろしいのは人間よりも物語そのもの
で、権力に対する人間の飽きなき欲望と恐怖政治の悲劇を明確に描写しています。
また、妻(女)にそそのかされて悪事に走る夫という プロットも…よくあるパターン!?
古典劇なのにSFタッチの世界観!
本作は全編モノクロ映像で、とてもクリアでシャープな映像!古典劇なのに全く昔風のノスタルジックな雰囲気ではなく、美術も抽象化した未来的オブジェの様相を示している。
城ですらも最低限表現したオブジェクトのようになっていて、まるで いつの時代の話なのか分からなくなり 未来を描いたSFムービーを見ているような圧倒的世界観に包まれる。
これらの撮影は全てがサウンドステージで、意図的に無機質な背景と 不安をさらに助長するような音楽で構成されているので 雰囲気が抜群!
『マクベス』は、第94回アカデミー賞で 主演男優賞のほかに撮影賞・美術賞にノミネートされるほどの映像美が見どころ!
古典劇の代表として映画や舞台で上演
シェイクスピアの作品は、これまで何度も映画化や舞台で上演され、1996年の『ロミオとジュリエット』は、レオナルド・ディカプリオとクレア・デインズにより映画化され、対立する両家の恋に落ちた男女の悲劇が描かれました。
四大悲劇では1948年に『ハムレット』が映画化され、ローレンス・オリヴィエなどの名優を生み出しました。
更に2015年にはベネディクト・カンバーバッチ主演の舞台『ハムレット』が世界各地の映画館で上映され、また2016年には『マクベス』がマイケル・ファスベンダー主演で映画化されるなど、近年映画館におけるシェイクスピア四大悲劇のプレゼンスが高まっています。
夫婦の野心と狂気
荒野で3人の魔女に出会ったスコットランドの将軍・マクベスは「いずれ国王になる」という予言を受け、その言葉にとりつかれる。
その後 夫人にそそのかされるまま、マクベスは国王を暗殺し予言の通り国王の座に就いた。
ところが、マクベスは「将軍バンクォーの子孫が王になる」という予言に怯え、不安のままに殺人に手を染め、暴政をふるいはじめる。
シェイクスピア四大悲劇の一つ『マクベス』では、スコットランドの将軍・マクベスの隆盛と失墜、夫婦の野心と狂気が描かれる。
キャスト
『イコライザー』シリーズや『トレーニング デイ』(2001)のデンゼル・ワシントン、『スリー・ビルボード』(2017)『ノマドランド』(2020)のフランシス・マクドーマンドというアカデミー賞スター二人を主演に迎え『ノーカントリー』のジョエル・コーエンが映画化。
他、コーリー・ホーキンズ、ブレンダン・グリーソン、ハリー・メリングなどが共演。
圧倒的に美しい世界観!
本作は人間の精神的な弱さ、誘惑、運命といった要素を陰影のあるモノクロ映像によって描かれるので、より オドロオドロらしさが伝わってくる…そして 恐ろしいほどに美しい!
その世界観は、細部まで緻密に考えられた演出により 舞台を見ているような感覚と雰囲気に酔いしれる… そしてシンプルな背景なので、セリフと演技が際立つのです!
シェイクスピア映画の原作は戯曲で小難しいイメージがありますが、本作のように美的センスに優れた最新の映画で 魅惑の世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか?
”この映画 観るべきか、観ないか…それが問題だ”
作品情報
製作国:アメリカ
監督:ジョエル・コーエン
上映時間:105分
劇場公開日:2021年12月31日
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