2019年に公開「ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ」の予告編動画
戦時中ナチス・ドイツが略奪した芸術品の総数は約60万点にのぼり、今でも10万点が行方不明と言われている・・・なぜ ナチスの総統・ヒトラーは美術品略奪に執着したのか?
『ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ』は、ナチスに弾圧され奪われた美術品とそれに関わる人々を描いたドキュメンタリームービー!
ヒトラーと美術品の根深い関係
貧しい家庭に生まれた青年ヒトラーが、画家を志していた逸話はよく知られている。
ヒトラーの自伝でもある「我が闘争」には、彼がプロの芸術家を志しウィーン美術アカデミーを受験するが二度も失敗し夢破れる姿が描かれています。
そして、美術を学ぶため留学したウィーン時代には画家として自身が書いた絵やポストカードを売りに出しては、糊口をしのいだ時期もあったのです。
ヒトラーの秘宝と闇の美術史
ナチス・ドイツの独裁者として政権掌握後、もとより美術に関心の強かったヒトラーは、侵略後 お抱えの画商を利用して美術品略奪に躍起になるのだった!
ナチスはヒトラーの命を受け、侵略と並行し1933年~45年にかけてヨーロッパ各地のユダヤ人富裕層やユダヤ人美術収集家、ルーヴル美術館から問答無用で憧れの名品や価値ある美術品の略奪を繰り返したのです・・・本作には、目を疑うばかりの数多くの名画が登場!
しかもヒトラーは、ピカソやゴッホ、ゴーギャン、シャガールらの名作に「退廃芸術」の烙印を押す一方、ドイツ国粋主義によるアーリア人の写実的で古典主義的な作品を擁護する。
ドキュメンタリー『ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ』は、歴史家や美術研究家、略奪された美術品の相続人や奪還運動に携わる関係者の証言をもとに、ヒトラーの思想の背景と略奪された美術品が辿った闇の美術史に迫る・・・歴史的にも タメになる映画です!
戦争で略奪した芸術品を飾る「略奪美術館」
略奪した美術品を奪った側の美術館で展示する事は、歴史的にみても決して珍しいことではないのです。
たとえばルーヴル美術館では、ナポレオンがヨーロッパ諸国との戦争で略奪した美術品を数多く展示し、ナポレオン失脚後も返還は一部しか行われなかった。
「泥棒美術館」と揶揄される大英帝国博物館もまた、帝国主義時代に植民地から略奪した多くの美術品がコレクションされているのです。
たいていの美術品所有国は正当に入手したと主張するが、実際は戦利品として奪い取ったり、戦時のどさくさに紛れて持ち帰った不当な方法が多かったのです。
悪行はヒトラーだけではない?
実は美術品を強奪するという悪行をしたのはヒトラーだけがやったことではなく、ヒトラーと張り合うほどに収集していた男がいた・・・。
その男は、ヒトラーの後継者とも指名されたヘルマン・ゲーリング国家元帥で、かなりの美術品コレクターのヘルマンは邸宅ホールに巨大美術品コレクションを作っていたのです。
そのやり口は占領後の各地で真っ先に美術品を狙い集め、ユダヤ人の富裕層から汚いやり口で奪ったり、ルーヴル美術館からの略奪も繰り返し、自分の地位を高めていったのです。
そして、これに加担する多くの画商も存在したのでした。
為政者に対抗する!その象徴としてのピカソ
ピカソが『ゲルニカ』を描くと、これは「略奪を繰り返した君たちだ」と言ったそうです。
最後の最後にやっと語られたピカソの言葉は、最も力強い反戦絵画芸術を象徴しています。
ナチスが略奪した美術品を”奪還”せよ! の映画
ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演を務め、2015年に公開された
『ミケランジェロ・プロジェクト』は、ナチスに略奪された美術品の数々を奪還するために、戦争ド素人の7人の特殊部隊の活躍が描かれています。
『黄金のアデーレ 名画の帰還』(2015年)では、ナチスに奪われたクリムトの名画の返還を求めて訴訟を起こしたユダヤ人女性の実話を基にした映画で世界中が驚きました。
名画にも物語がある!
『ヒトラーVSピカソ』の監督は、ヴェネチア・ビエンナーレやイタリア国立21世紀美術館などのドキュメンタリーを手がけたクラウディオ・ポリ。
語り口は「修道士は沈黙する」などに出演した俳優トニ・セルヴィッロが案内役を務めます。
戦慄する名画ドキュメンタリー!
『ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ』は、ナチスに弾圧され奪われた美術品とそれに関わる人々の運命に迫る名画ドキュメンタリー。
戦後70年以上経った今・・・ 行方不明の名画たちは、どこにいるのでしょう?
映画鑑賞も『テキサスチェンソー』の血しぶき上がるホラーや、『アイアン・スカイ』のように荒唐無稽のSFアクションも面白いですが、たまには『ヒトラーVSピカソ 奪われた名画のゆくえ』のように、”タメになる映画”もオススメ!!
作品情報
製作国:イタリア・ドイツ・フランス合作
監督:クラウディオ・ポリ
上映時間:97分
日本公開日:2019年4月19日
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