2022年6月に劇場公開された『冬薔薇(ふゆそうび)』の予告編動画は、こちら
港町に住む青年・淳は学校にも行かず、不良仲間とつるみながらダラダラと生きていた。
ある日、淳の仲間が何者かに襲われ 犯人は思いも寄らぬ人物象が浮かび上がる・・・。
『冬薔薇』は、ある港町を舞台にした 人間の業を儚くも切なく描いた人間ドラマ。
港町に住む渡口淳は、入学した専門学校にも行かず、中途半端な不良仲間とつるみながら友人や女たちからせびった金で、遊び呆ける ”ロクデナシ”だった。
いっぱしのハンぐれとして突っ張っているのならサマにもなるが、兄貴分の言いなりになっているだけのヘタレな男なのだ。
嚙み合わない親子の想い!
淳の両親は、埋立て用の土砂を運ぶガット船を営んでいるが、時代とともに仕事も減り、後継者不足に頭を悩ましながらも なんとか日々をやり過ごしていた。
淳は そんな親の仕事には興味も示さず親子の会話もほとんどない・・・親の脛をかじるだけ。
父親の義一は淳ともう何年も、口をきいたことが無かった・・・淳の兄の死が原因か?
日常が壊れていく!
ある日、淳の仲間のリーダー美崎の 妹・智花が何者かに襲われる事件が起きる。
そこに、浮かび上がった犯人像は思いも寄らぬ人物のものだった.
そして、今までの日常が更に壊れていく・・・。
家族とも友人とも、自分自身の過去からも逃げてきた・・・見つめることが、怖かった。
冷たい風に吹きさらされた、寄る辺なき 彼らの”魂”はどこに流れ着くのか。
『冬薔薇』は、とある港町を舞台に 人間の業が織りなす “寄る辺なき者たちの物語”。
伊藤健太郎の復帰作!
本作は、『北のカナリアたち』(2012年)など数々のドラマ邦画を監督してきたベテランの阪本順治が、一時期の不祥事で謹慎中だった俳優の伊藤健太郎の復帰作として制作を依頼された作品で、『人類資金』で構想にあったガット船を題材にした物語に仕上げました。
キネマ旬報ベスト10入り!
季刊誌・映画芸術が「2022年日本映画ベストテン&ワーストテン」を発表し『冬薔薇』がキネマ旬報や映画芸術でベスト10入りと評価されました。
「キネマ旬報ベスト10」は、映画雑誌キネマ旬報が毎年1月に日本映画部門と外国映画部門に分かれ優れた作品をランキング形式で10作品を選出し、1位の映画が「作品賞」として表彰されます。第96回キネ旬で『冬薔薇』は第5位を獲得! 『PLAN75』は6位に。
本作『冬薔薇』は、その場しのぎの人生を送ってきた青年の周囲で起きた事件を巡る物語を、「今日から俺は!!」シリーズの、伊藤健太郎を主演に据えて映しだす。
『冬薔薇』あらすじ
埋め立て用の土砂を運ぶガット船を営む父と、船に関する事務をする母を両親に持つ渡口淳は、親の脛をかじりながら自堕落に生きている若者だ。
せっかく入ったファッションデザインの専門学校にも行かず、半端な不良仲間とつるみ、友人や女から金をせびってはその金で遊び呆け、ダラダラと生きていた。
ガット船の船長・渡口義一と妻道子は、生活に疲れながらも慎ましく仲良く暮らす、ごく平凡な夫婦・・・淳は そんな親の仕事には興味も示さず、親子の会話もほとんどなかった。
しかし、淳の兄はこのガット船の貨物倉から転落したことで命を落とし、その時一緒にいた次男の淳は、その頃から家族に対してわだかまりを持つようになっていたのだ。
淳の不良仲間は、ある事件をきっかけにリーダーの美崎から距離を置くようになり、淳もやがて縁を切った。
その後一人になった淳は、唯一の友人と思っている友利が故郷に帰って家業を継ぐという話を思い出し、そこで仕事をさせてもらうことを思いついた・・・まともに生きよう!
”再起だ!” と両親に報告し、家を出るときには二人から暖かく送り出された。
しかし、友利から「来てもらっては困る。俺は友だちと思っていない」という連絡が入り・・・淳はヤケをおこして酒場で喧嘩し、身も心もボロボロになってビルの間にうずくまる。
今さら実家に戻ることもできず、何よりも友利の発した冷たい言葉に打ちひしがれ、彼は
例えようもない絶望感と孤独感に襲われた・・・。
ビルの谷間に冷たい雪までチラつき出したその時・・・“来いよ 友だちだろ” と手を差し伸べてきた男がいた。
それは、絶縁したはずの不良リーダー美埼だった。
手を握るべきか、払いのけるべきか…淳は究極の選択をする。
キャスト
伊藤健太郎、小林薫、余貴美子、眞木蔵人、永山絢斗、毎熊克哉、坂東龍汰、河合優実、佐久本宝、和田光沙、笠松伴助、伊武雅刀、石橋蓮司などが出演。
冬に咲く薔薇「冬薔薇」
冬に咲く薔薇と書いて「ふゆそうび」・・・冷たい冬の風の中でも、一輪の健気に咲いた花。
タイトルから、一見バラのイメージのような美しい話かと思いがちですが、本作は人間の業が織りなす “寄る辺なき者たちの物語”。
又、冬薔薇はせっかくつぼみを立てても、寒さのために咲かずに終わることもあります。
『冬薔薇』では、母親の思うように育たない 花を咲かせられない息子と、何も言わない父親との、じれったくて不器用な父子像が描かれています。
冬薔薇の花言葉は「輝かしく」とあり・・・青年・淳は輝やきのある未来を選択することができたのだろうか?
作品概要
製作国:日本
監督:坂本順治
上映時間:109分
劇場公開日:2022年6月3日
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