『フェリチタ』の予告編動画は、こちら
『フェリチタ』の意味は?
フェリチタは、イタリア語で”幸福”という意味になります。
フランスの映画でフランス人が監督ですが、イタリア語のタイトルです。
”幸福”をフランス語では、”Bonheur”と言います。
『フェリチタ』のキャスト
キャスト 本作では、日本ではあまり馴染みのある俳優さんは、出演しておりませんが、ピオ・マルマイさんは、他の作品で見た事がある方もいらっしゃるかもしれません。
他の出演作としては、以下の作品がありコメディをメインとして出演されているようです。
また、フランス映画ばかりですので、日本では映画自体も上映されずにDVD化されている作品もあるようです。
『フェリチタ』のあらすじ
衝撃的な事実からのスタート
フランスのある3人家族の物語です。
父ティム、母クロエ、そして娘のトミー(11歳)。
レストランで食事をする3人の会話から映画は始まり、トミーはティムに自分たちの本当の子供ではないと突然告げられます。
驚きの会話からスタートしますが、トミーはそれが嘘であることをすぐ見抜きます。
この家族ではこのようなジョークは普通のようです。
また、この風変わりな家族は、クロエの仕事先であり、かつ家主がバカンス中の家に勝手に住んでいました。
そして、トミーは新たに始まる学校に向けて準備をしています。
ティムに対して今度は遅刻しないと念を押す様子から、過去に何度も失敗しているようです。
突然の家主の帰り
しかし、家主の帰りが一日早まった事により、ドタバタ劇が始まります。
この危機を無事乗り越える3人ですが、事件はまだ続き、トミーの新学期に暗雲が立ち込めます。
3人がなんとか家を出た後、母クロエは再びその家へ掃除の仕事にでかけます。
しかし、夜になっても戻らないクロエを心配して2人は彼女を探しに出ます。
新たな事件の始まりです。
『フェリチタ』の見どころ
高度なジョーク
見どころの一つとして、「ジョーク」があります。
レストランでティムが話したようなジョークが、その後もいくつか登場しますが、どれも真に迫っているので、本当なのか嘘なのか聞くだけでは正直わかりません。
クロエが再び仕事に行く際に、ティムに対して自分がかつて出たポルノがネットに流出し、ティムの友人に脅されていると告白します。
驚くティムにクロエはいつものジョークだと伝えますが、ティムは不安が拭えないようでした。
私もこれに関しては本当なのか嘘なのか見分けが付きませんでした。
そして、結局分からずじまいです…。
空想の宇宙飛行士
他の見どころとして、「宇宙飛行士」がいます。
トミーの空想の中に登場する人物です。
トミーは普段からヘッドホンをしています。
クロエが戻って来ず、探しに出た2人ですが、車はクロエが乗って行ってしまったので友人に借りようとクラブに向かいます。
しかし、車を借りることはできず、ティムは停められていたスポーツカーを盗みました。
それを見たトミーは涙を流します。
ティムには逮捕歴があり、かつて刑務所に入っていた原因はギャングに自動車泥棒をさせられていたからだとトミーに打ち明けていました。
このトミーの涙はとても印象的でした、父親が犯罪を犯したことが悲しかったからかもしれないし、それによってまた一緒に暮らせなくなることが悲しかったかもしれないし、または単なる恐怖だったかもと、色々と考えてしまいました。
さて、ティムとトミーは車を見つけますが、クロエは中にいません。
ティムがトミーを置いて家の方に向かうと、ヘッドホンをしたトミーの横に宇宙飛行士が現れます。
彼はトミーに、付いて行くか行かないかが運命を分けると言いました
トミーは付いて行った場合を空想し、そこではティムが家で騒動を起こし、相手家族全員を射殺する場面を目撃します。
トミーが泣きながら車で待っていると、ティムとクロエが一緒に戻って来てきました。
騒動を起こしたようで、警察に通報されてしまいます。
この宇宙飛行士の存在は最後まで謎ですが、誰もが人生で一度は会話したことがある「意識」ではないでしょうか?
特に子供の頃に。
また、彼がいることによってシリアスな場面が少女の空想の中であることを強調して、衝撃を和らげてくれるような気がしました。
この映画は色々と刺激が強い部分もありますが、全体的に優しい感じにまとめられていて、題名に負けない温かさを感じました。
学校はどうなった?
家を飛び出し、母親がいなくなり、見つかったと思ったら父親が警察に追われるという、とても学校どころではない展開になりましたが、トミーの学校はどうなったのでしょうか?
実際ティムは逃げることを考え、学校を諦めて遠くへ行こうと提案します。
クロエと口論になり、トミーにもあたるティムはトミーのヘッドホンを投げ捨ててしまいました。
翌朝、頭を冷やしたティムはトミーに謝ろうとしますが、トミーの姿は見当たりません。
トミーは一人で学校に向かって歩いていました。
ティムとクロエはスポーツカーでその後を追いかけます。
トミーは追いかけてきたティムに誰も殺していないかを尋ね、殺していないという返事をもらうと、車に乗って、猛スピードで学校に向かいます。
何とか学校には間に合いましたが、ティムは待ち構えていた警察に逮捕されてしまいます…。
ティムは数ヶ月後に出所します。
刑務所から出るのが早かったので、本当に殺人は犯してなかったようです。
妊娠していたクロエのお腹は大きくなり、トミーも少し成長したようでした。
刑務所から出てくるティムを二人はジョークで温かく出迎えます。
まとめ
この映画はブルーノ・マール監督の作品で、原題は「Felicità!」です。
全体としてはコメディ映画ですが、3人の絆を通して幸福に関して再度考えさせられるような、深い部分も持ち合わせた素敵な映画でした。
普通と比べれば実に変わった暮らしをしていて、行きあたりばったりですが、素直で陰のない3人の関係性は幸福そのもののような気がしました。
目に見える状況は残念なものかもしれませんが、自由と愛を持った風変わりな両親を見て育つトミーも、しっかりと幸福が何かを理解しているでしょうし、私達も観終わった後には幸福になれる、そんな映画でした。
脚本・監督は、ブルーノ・メルル
ブルーノ・メルル監督は、短編映画をメインに制作されていましたが、初の長編作品「変態ピエロ」でカンヌ映画祭評論家のオープニング作品として上映されました。
また、本作では脚本も手掛けています。その後も映画祭に選ばれ、脚本を手掛けています。
作品情報
- 製作国:フランス
- 監督:ブルーノ・メルル
- 上映時間:85分
- 日本劇場公開日:2020年1月17日
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