2010年4月に劇場公開された「第9地区」の予告編動画は、こちら
そのエリアは、地球で難民化したエイリアンたちが隔離された場所・・・「第9地区」。
本作はスラムと化した異星人居住区「第9地区」を舞台に、地球で難民化したエイリアンたちと人間の対立が風刺を込めて描かれた革新的なSF超大作。
全く新しいドキュメンタリー・タッチのSFアクション
この手の映画は、宇宙人が地球を侵略するというのがほとんどのパターンだが、
彼らは人類に危害は加えず、逆に人類から迫害を受けている・・・その姿は、まさに難民!
本作ではエイリアンが難民として扱われ隔離されるという斬新な内容の映画!
難民問題を、エイリアンの形で表した風刺映画
そして隔離されているのは「アパルトヘイト」が施行された、南アフリカのヨハネスブルクという皮肉さで、更に醜いエイリアンのことを「エビ」と呼び、現代の人間社会の難民問題をエイリアンの形で表した風刺映画でもあるのです。
アパルトヘイトとは
南アフリカでは1948年から1994年頃まで、白人と非白人を差別する「人種隔離政策=アパルトヘイト」が行われ、差別された黒人には低賃金所得のみがあてがわれていました。
更にアパルトヘイトが本格化すると「原住民労働者法」により就業制限に限らず各種の待遇や制限で、白人労働者には手厚い保護を与える一方で、黒人労働者には劣悪な居住区と労働条件を課して南アフリカの資本主義は発達したのです。
『第9地区』のストーリーは、アパルトヘイトの黒人強制移住政策をベースとしており、人種や肌色の違いをエイリアンの特異な造形に置き換え、人種差別の構図を分かりやすく表現しています。
エビの造形は巨大バッタがモチーフ
本作のエイリアン「エビ」の造形は、ヨハネスブルクに生息する巨大バッタの一種である「Parktown Prawn」がモチーフとなっています・・・正に“虫けら”のように扱われるのです。
全身がバッタのトゲトゲした足に覆われ、立ち姿と顔は海の「エビ」に似ています。
無名監督が本作で長編デビュー
『第9地区』を始め『エリジウム』『チャッピー』など、ブロムカンプ監督は異星人や未来の科学を主題に取り込み、驚くべき映像や恐るべき物語に変てこな笑いをからめながら、主人公の切なさや悲しさを感じさせる作風が評判となっています。
近未来SF『エリジウム』(2013年)では、現代の富裕層のユートピアと貧困層のディストピアの格差社会を地上と宇宙に二極化した内容で描き、社会問題を色濃く反映しています。
映画「第9地区」のあらすじ
エイリアン襲来!難民キャンプへ隔離
ある日、正体不明の謎の宇宙船が 突如南アフリカのヨハネスブルク上空に姿を現す。
UFOの様子を見たが、攻撃してくる気配はない? 調査隊が船内に乗り込んだ!
船内には栄養失調で衰弱したエイリアンたちがおり、政府は仕方なく彼らを保護し、UFOの真下に難民キャンプを設立し、そこにエイリアン「エビ」を住まわせることにした。
人間たちと隔離された このエイリアン保護区は、「第9地区」と呼ばれていた。
その後、エイリアンを難民として受け入れてから・・・20数年後のヨハネスブルグ。
難民エリア「第9地区」はスラムと化し、知能が低く凶暴なエビと地元住民の間の対立は深刻化していった。
そこで超国家機関・MNUは、エイリアンたちを新たな難民キャンプへ強制移住させることを決定! プロジェクトの責任者に、ヴィカスを抜擢する。
ある日、ヴィカスは任務中にエイリアンが持っていた「黒い液体」を浴びてしまった。
彼は次第に体調不良を起こしはじめ、自分の身体の異変に驚愕する!?・・・そして彼は!
キャスト
シャールト・コプリー、ジェイソン・コープ、デヴィッド・ジェームズ、ヴァネッサ・ハイウッド、ジョン・ヴァン・スクール、ユージーン・クンバニワなどが出演。
横暴な人間と悪意に満ちた差別
本作は、痛烈な社会風刺と映像における革新性を兼ね備えたエンタメ映画!
難民として扱われ強気な態度に出られないエイリアンに対する人間の横暴さと悪意が描かれ、珍しく宇宙人の方に同情的で肩を持ちたくなってくる。
人間に「反抗してこない」のを良い事に、ひどい仕打ちをするのデス。
そんな、エイリアンがあまりにも「エビ」に似すぎて、焼いたエビを食べれない気分にも・・・。
革新的なSF『第9地区』が、本当に観せたいのは SFでも戦闘アクションでもなく、南アフリカを舞台にした人種差別へのメッセージ!
映画「第9地区」のレビューを調べてみた
調べてみたら岩手から青森にかけての地名由来の名前らしいよ!戸は部を意味してるらしくて九戸は第9地区くらいの意味合いらしく、一戸から九戸まで存在するらしいWw奥深い!
映画「第9地区」の続編は「District10」(第10地区)
2021年から続編が制作されると言われ、現在は2023年。
コロナの影響などもあり、他の作品の制作も遅延したりとずいぶん時間が経過していますが、ゲームの映画化『グランツーリスモ』の映画化の後に製作開始との話があります。
まだまだ時間は、かかりそうですが・・・、まずは『グランツーリスモ』上映を待ちましょう。
作品情報
製作国:アメリカ・南アフリカ・ニュージーランド
監督:ニール・ブロムカンプ
上映時間:111分
日本公開日:2010年4月10日
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