2016年2月に劇場公開された「キャロル」の予告編動画は、こちら
映画「キャロル」は、1950年代のマンハッタンを舞台に、異なる背景を持つ二人の女性が出会い、予期せぬ愛を探求する感動的な物語を描いています。
キャロルとテレーズの恋愛が展開される中で、観る者は愛の美しさと困難を体験し、感動的な旅へと誘われます
映画「キャロル」は、同性同士の恋愛を描いた映画です。
私自身の恋愛対象は男性なのですが、恋愛対象が異性か同性か関係なく、恋をしている時の相手への眼差しや憧れ、苛立ち、喜び、相手に拒絶された時のどうにもならない悲しみ等、恋をしている、その恋に夢中になっている自分をまるで思い出すような気持ちで、気付いたら画面にかじりついていました。
映画「キャロル」のあらすじ
舞台は1950年代のマンハッタン。
主人公テレーズ(ルーニー・マーラ)は百貨店のおもちゃ売り場で働きながらも、写真作品を撮り続けています。
ボーイフレンドもいるのですが、自分のボーイフレンドに対する気持ちが確かなものなのか彼女にはわかっていません。
そんな中、クリスマスが近づいたおもちゃ売り場に、ひとりの美しい女性が現れます。
彼女こそ、映画のタイトルにもなっているもう一人の主人公、キャロル(ケイト・ブランシェット)が演じるひとりの娘を持ち、夫と離婚をしようとしている女性です。
二人は恋に落ちるのですが、そこにはテレーズが思いもしなかった困難が待ち受けているのでした。
映画「キャロル」では、名セリフ・名言よりも演技で見せる
評論家も絶賛!素晴らしいテレーズの表情・視線
二人が出会ったクリスマスのおもちゃ売り場で、テレーズはキャロルに一目惚れしてしまうのですが、そのような説明は映画の中にありません。
店内を歩き回るキャロルを追うテレーズの視線、キャロルがクリスマス用のおもちゃを探しているといい、テレーズにそのことを訪ねている時の、落ち着かない仕草、そして、再び二人が繋がるきっかけとなった電話を取るときの胸の高鳴り。
もちろん胸の鼓動なんて聞こえませんでしたが、彼女の表情を見ていると、心臓が耳元にあるんじゃないかと思うくらいに、ドキドキという音が聞こえてきそうでした。
テレーズの表情は、キャロルと出会うことで様々な色を見せるようになります。
最初の内はキャロルが微笑みかけても、緊張で少し強張った笑顔ですが、彼女と会うごとに、その表情は柔らかくなります。
心底嬉しそうにはにかんだり、頬を赤らめて照れたように笑ったり。
また、キャロルとの関係についてボーイフレンドから苦言を示された時の苛立ちと怒りの表情、キャロルと距離を置かなければいけなくなった時の悲痛な表情。
それを見ていると、全て自分が体験しているかのようで、観ている間は自分の表情もテレーズに合わせて変化していることに気づきます。
テレーズのことばかりになってしまいましたが、キャロルも本当に素晴らしいです。
裕福な女性という設定ですので、ファッションが素敵なのは勿論ですが、その仕草や立ち振る舞いに目を奪われます。
テレーズがあんな風に見つめるのも大きく頷けるくらい、彼女は女性の憧れの的になるに違いありません。
特に私が目を離せなかったのは、彼女の煙草を吸う仕草です。
私はそれまで男性が煙草を吸うというのは、映画の中で度々観てきましたが、女性が煙草を吸う場面に注目してきませんでした。
キャロルはお酒や食事の席でよく煙草を吸うのですが、煙草を取り出す瞬間から、火を点ける時、煙を吸い込み、ゆっくりと紫煙をくゆらすその一連の動作が、たまらなく美しくてかっこいいのです。
そして、向かいに座ったテレーズの瞳を真っ直ぐに見つめるその視線。
画面越しに彼女に恋をしてしまうのではないかと思ったほど、吸い込まれそうな魅力がそこにはありました。
私だけでなく、キャロルを観た人の中でキャロルに恋をしてしまい、自分をテレーズと重ねてしまった人は少なくないのではないでしょうか。
それは性別の向こう側にある、ただその人に夢中になってしまうという感情です。
さて、登場人物ふたりのことを熱く語ってしまいましたが、キャロルの魅力は登場人物だけでなく、ファッションや音楽にもあります。
映画「キャロル」からわかるファッションと音楽
ファッションは文章だけでは伝わりにくいと思いますが、洋服や小物、インテリア色使いや現代で再流行しているスカーフの使い方は、きっと目に楽しく映るでしょう。
また、音楽で言うと、ビリー・ホリデーという昔のジャズシンガーが歌い上げる「Easy Living」という曲が流れます。
とても耳触りがよく、素晴らしい曲なのですが、この曲の歌詞がまさにテレーズのキャロルに対する気持ちと重なるのではないかと解釈できるので、必聴です。
この映画の魅力はなんといっても登場人物二人にあります。
二人が互いを思いあう光景は、性別なんて関係なく響いてきます。
テレーズが電話越しにキャロルを呼ぶ切ない声、キャロルがタクシーの中からたまたま街を行くテレーズを見つけ、窓越しにただただ見つめる悲しい瞳。
そして色彩が踊る映像美。短い映像の中にもその魅力が詰まっています。
そして私が一番大好きなシーンは最後のシーンです。
ここでネタバレはしませんが、映画キャロルのメインテーマと共に、ついさっき観た映像かのように、私の頭の中で何度も再生されるのでした。
映画「キャロル」で使用される香水
劇中内でキャロルが使用する香水があるのですが、作品を見た方は色々と憶測しているようです。
ヒントは、作品内のセリフで「結婚前に夫からもらって、ずっと付けている」のみ。
また、この映画の作品は、1950年代の物である事から、以下の香水が候補として挙がっています。
映画「キャロル」のレビューを調べてみた
なんならキャロルの映画がバズりすぎて新しい通貨作ったんじゃ無いか?って想像すらしてます😇
イギリスの数学者ルイス・キャロルの書いた「不思議の国のアリス」のアリスは、ウォルト・ディズニーが長年、映画化を夢見ていたキャラクターでもあります。
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