シュールで魅惑的な映画『ブルーベルベッド』のあらすじ・レビューを紹介【ネタバレなし】

1987年5月に劇場公開された「ブルーベルベッド」の予告編動画は、こちら

のどかな田舎町で、切断された人間の片耳が発見された！

主人公の男はやがて、犯罪と欲望渦巻く世界へと足を踏み入れていく…。

『エレファント・マン』や『デュ―ン/砂の惑星』の監督で知られる、奇才デヴッド・リンチが描く衝撃の問題作！

リンチ的 怪作！

草むらから、人間の切り取られた耳を拾う？  映画冒頭から、不穏なムードが提示される…。

切られた耳は一体、誰のものなのか？　何故切られたのか？

『ブルーベルベッド』は平凡な青年が、ある事件をきっかけに悪夢のような世界に引きずり込まれていく様子を描いたデヴッド・リンチ監督のサスペンス。

強烈なエロスとバイオレンス…そしてアブノーマルな世界！

本作は、現在のデヴィッド・リンチの奇々怪々な作風が確立された作品とも言えます。

デヴッド・リンチ復活！

前作『デューン／砂の惑星』で、メジャー大作を監督しながらも興行的に失敗したリンチ監督が、本作で再び独自の世界観で描き上げた復活作品で代表作としても評価されました。

『デューン／砂の惑星』では、編集の最終決定権が自分になかったことを悔やんだリンチが、本作では予算を削る条件で最終編集の権利を得て、監督の思う存分な作品に仕上げました。

それ故、公開後は物議を醸し問題作ともなったが興行的にも成功した本作は、リンチ監督の代表作として評価されるだけでなく、アメリカ映画史を語る上での名作ともなりました。

魅惑的な曲「Blue Velvet」

劇中でクラブ歌手のドロシーが歌う「Blue Velvet」という曲は1951年にトニー・ベネットが発表した曲で、ベルベット調のなめらかで魅惑的なメロディーは大変人気がある曲で、多くの歌手にカバーされています。

人間の片耳を発見！

大学生のジェフリーは、急病で倒れた父を見舞うため、ノースカロライナ州の小さな田舎町ランバートンに帰郷した。

父の見舞いの帰りの道中、ジェフリーは茂みの中で、切断された人間の片耳を発見する！

彼は、刑事ジョンに片耳を届け、それが縁となってジョンの娘サンディと親しくなった。

サンディによると問題の片耳事件には、ドロシー・ヴァレンズというクラブ歌手の関与があることを知る。

好奇心に駆られたジェフリーは、事件の真相を暴くため、ドロシーが暮らすアパートメントに潜入するのだった…。

アパートメントに潜入したジェフリーは、そこで衝撃の光景を目撃する！

ブルーベルベットのあらすじ

『ブルーベルベット』は、デヴィッド・リンチ監督による1986年のアメリカ映画です。

この作品は、スリラーとミステリーの要素が組み合わさったダークなテーマを持ち、一般的な日常生活の裏に潜む恐ろしい世界を描きます。

若者のジェフリー・ボーモントが故郷の町で偶然見つけた人間の耳をきっかけに、次第に町に潜む闇へと引き込まれていく様子を描いています。

映画の基本情報

この映画は、リンチ監督独自の映像美とサスペンスフルなストーリーテリングが絶妙に絡み合った作品として知られています。

監督とキャスト

監督のデヴィッド・リンチは、自身の独自な映画スタイルを持ち、複雑で重層的な物語とビジュアルを得意としています。

主演を務めたカイル・マクラクランは、純真な青年ジェフリー・ボーモント役を演じ、イザベラ・ロッセリーニはミステリアスな歌手ドロシー・ヴァレンス役を担いました。

さらに、デニス・ホッパーは凶悪なフランク・ブース役で圧倒的な存在感を発揮し、ローラ・ダーンはジェフリーの恋人であるサンディ・ウィリアムズを演じています。

公開年と制作背景

『ブルーベルベット』は1986年に公開されました。

当初はその暗いテーマと衝撃的なシーンから賛否両論が巻き起こりましたが、リンチの物語構成と映像美は次第に高い評価を受けるようになりました。

映画の制作背景には、デヴィッド・リンチの過去の作品『エレファント・マン』と『デューン』で得た経験と教訓が反映されています。

本作はリンチのキャリアにおいて重要な作品となり、その後の作品に影響を与えました。

プロローグ

謎の発見

物語は、主人公ジェフリー・ボーモントが故郷の町で散歩中に、草むらの中に人間の耳を発見するところから始まります。

この驚くべき発見は、彼を次第に町の裏側に潜む謎の世界へと導いていきます。

耳の発見をきっかけに、ジェフリーは一連の不思議な出来事と、深い闇に覆われた犯罪の真相に迫ることになります。

町の日常の中に隠された恐怖と謎に、次第に彼の好奇心は掻き立てられていきます。

重要な人物の登場

ジェフリーは、耳の謎を追う中で、次々と重要な人物に出会います。

まず、美しいが謎めいた歌手ドロシー・ヴァレンス。

そして、彼の調査に協力することとなる美しい学生サンディ・ウィリアムズ。

そして、最後には人間性を失った凶悪な犯罪者フランク・ブースが登場します。

これらの登場人物は、ジェフリーの調査を複雑にし、それぞれ独自の秘密と動機を持っています。

彼らとの出会いが、物語に新たな展開をもたらします。

主要キャラクターの紹介

ジェフリー・ボーモント

ジェフリー・ボーモントは、大学生でありながら、故郷の町で過ごしています。

彼は純粋で好奇心旺盛な青年で、偶然見つけた人間の耳をきっかけに町の裏側の闇に引き込まれていきます。

ジェフリーは、自己の道徳観と現実の危険な世界の間で葛藤しながらも、真実を追求する姿勢を貫きます。

彼の成長と変貌が物語の中核を成していきます。

ドロシー・ヴァレンス

ドロシー・ヴァレンスは、ミステリアスで官能的なナイトクラブの歌手です。

彼女は深い悲しみと苦悩を抱えており、その背後には恐ろしい秘密が隠されています。

ジェフリーとの出会いによって彼女の複雑な心理状態が明らかになり、彼の調査に重要な手がかりを提供します。

彼女のキャラクターは、物語の緊張感を高めるとともに、ドラマチックな要素を追加します。

フランク・ブース

フランク・ブースは、凶悪かつ不安定な犯罪者であり、物語の主要な敵対者として登場します。

彼は暴力と恐怖を操る人物で、その狂気と無慈悲さはほとんどの登場人物に脅威を与えます。

フランクの存在は、物語に深いサスペンスと緊張感をもたらし、ジェフリーとの対立は物語のクライマックスを形作ります。

彼のキャラクターは、作品全体の不気味さを増幅させる重要な役割を果たします。

サンディ・ウィリアムズ

サンディ・ウィリアムズは、ジェフリーの協力者であり、恋人として重要な役割を担います。

彼女は地元の警察署長の娘であり、好奇心旺盛で勇気もある女性です。

サンディは、ジェフリーが謎を追求する手助けをする一方で、彼に対して深い感情を持っています。

彼女の存在が、ジェフリーが直面する困難な状況に一筋の希望と安らぎをもたらします。

物語の展開

ジェフリーの発見

ジェフリー・ボーモントは、人間の耳を発見したことをきっかけに、独自にその耳の持ち主を追い求める調査を始めます。

彼の好奇心は、町に潜む不気味な秘密を解き明かそうという強い動機へと変わります。

彼の調査は、奇妙な事件と人物を結びつけ、ますます深い謎の世界へと引き込まれていきます。

ジェフリーの行動は予期せぬ危険を招くことになります。

秘密の解明

ジェフリーは、さまざまな手がかりを頼りに、町のダークな秘密を少しずつ解明していきます。

彼は警察の協力を仰ぎながらも、自主的に調査を進め、ドロシー・ヴァレンスやフランク・ブースといった重要人物と接触することになります。

次第に、事件の背後に潜む深い闇と、複雑な人間関係が明らかになり、彼は自身の安全を犠牲にしてでも真相を暴こうと決意します。

ドロシーとの関係

ドロシー・ヴァレンスとの関係は、ジェフリーにとって非常に複雑で危険なものです。

彼女の存在は、単なる手がかりの提供者以上のものとなり、次第に彼の心の中で大きな位置を占めるようになります。

ジェフリーとドロシーの関係は、物語が進むにつれて感情的にも物理的にも深まっていきます。

そしてその関係は、彼の調査と同時に彼自身の運命をも左右する重要な要素となります。

フランクとの対立

フランク・ブースとの対立は、物語のクライマックスを形作る重要な要素です。

フランクは、ジェフリーにとって最大の敵であり、その存在は彼の日常を脅かすだけでなく、彼自身の生命にも危険を及ぼします。

フランクとの対立は、緊張感が絶え間なく続くシーンを生み出し、観客を最後まで引きつけます。

ジェフリーがどのようにしてこの危機を乗り越えるのかが、物語の大きな見どころとなります。

サスペンスと緊張感

『ブルーベルベット』は、終始一貫して強烈なサスペンスと緊張感を観客に提供します。

デヴィッド・リンチの巧みな演出により、観客は常に先の展開に目が離せない状態に置かれます。

物語の進行とともに、主人公たちが直面する危険や謎が次第に明らかになり、クライマックスに向けてその緊張感は一層高まります。

映画全体を通して、視覚的にも心理的にも深く惹き付けられる体験が待っています。

映画「ブルーベルベッド」のレビューを調べてみた

キャスト

主人公のジェフリーをカイル・マクラクラン、クラブ歌手ドロシーをイザベラ・ロッセリーニが演じています。

他、デニス・ホッパーやローラ・ダーンが出演。

リンチ監督は本作でアカデミー賞監督賞に2度目のノミネートを受け、その後の『ワイルド・アット・ハート』（カンヌ映画祭パルムドール受賞）、『ツイン・ピークス』（エミー賞2部門、ゴールデングローブ賞3部門受賞）へと続き、自身の黄金期を築く端緒となったのです。

見どころポイント

本作は「難解・不気味・不条理」の、リンチ・スタイルで描かれた怪作でもあり、公開時にはそのセンセーショナルな内容に論議が巻き起こった問題作ですが、もちろん秀作です！

平穏に見える田舎町の知られざる暗部を暴き出しながら、ラブロマンスとフィルム・ノワールのような退廃的描写、SMと倒錯的なセクシュアルと暴力など…リンチ節を生かしきった作品で、リンチワールドに、ずぶずぶとハマること間違いなし！

作品情報

• 製作国：アメリカ
• 脚本・監督： デヴィッド・リンチ
• 上映時間：121分
• 日本公開日：1987年5月2日