「アキラとあきら」は、日本の社会と経済を背景に、二人の異なる境遇に生まれた「アキラ」たちの人生を描いたドラマです。
この作品は、彼らの苦悩と成長、そして夢への追求を通じて、人間の強さと脆さを描き出します。
本記事では、「アキラとあきら」の物語の深さ、キャラクターの心理描写、そして社会的なメッセージに焦点を当てています。
ドラマは、異なる道を歩む二人のアキラの交差する運命を通じて、成功とは何か、幸せとは何かを問いかけます。
ここでは、その感動的な物語と、ドラマが視聴者に与える深い印象について探ります。
2022年に劇場公開された『アキラとあきら』の予告編動画は、こちら
同じ名前を持つ二人の若者は日本有数のメガバンクに同期入社した・・・しかし一人は左遷され、もう一人は実家の会社の倒産の危機に巻き込まれる。
対照的な宿命を背負った二人の若者「アキラ」と「あきら」は、情熱と信念を武器に現実に立ち向かっていく! いま、二人の絶望的な状況を前に奇跡の逆転劇がはじまる。
同じ名前を持つ2人の男
二人の若者「アキラ」と「あきら」・・・父親が経営していた町工場の倒産によって、幼少期から過酷な運命に振り回されてきた 山崎瑛(アキラ)。
もう一人は、巨大会社・東海グループの御曹司ながらも自ら跡継ぎの座を拒絶し、しがらみと戦う 階堂彬(あきら)。
二人の人生は交差する
日本有数のメガバンクに同期入社した2人は、信念の違いから反目し合いながらも互いをライバル視して切磋琢磨していたが、立ちはだかった壁によってアキラは左遷され、あきらは親族同士の権力争いに巻き込まれていく。
そして、あきらの実家・東海グループに倒産の危機が訪れたことで、2人の人生は再び交差していく・・・果たして4800人の人生は救えるのか!?
二人の男による逆転劇
二人のあきらは、生い立ちは正反対だが同じ銀行に就職し、出色の活躍をする。
初めは二人が銀行内で切磋琢磨し、出世競争する物語かな??と思っていたが、彼らはライバルではなく、後半ではむしろ手を携え 困難に立ち向かう姿が新鮮だ!
若きバンカー(銀行員)と経営者の奮闘劇がリアルに描かれ、赤字リゾートホテルを巡る緊迫した会社経営や、銀行融資をめぐるバンカーとしての苦悩も面白い!
会社経営権を通して親族が反目しあい、階堂の家業は傾いてゆく・・・その様子も興味深い。
なぜ会社は沈むのか!
経営判断は誤るのか?
本作はバンカーと企業人の共闘の物語だ。
原作は池井戸潤の同名小説
本作の原作は2006年から2009年まで、約3年かけて月刊小説誌『問題小説』に連載された池井戸潤の同名小説です。
本作の連載終了後は、約8年間も単行本として出版されないままでしたが、2017年にテレビドラマ化されたことがきっかけで、改稿を行った上で同年5月に書籍化されました。
約30年という年月を丹念に語るスタイルが、池井戸作品としては新鮮であり、二人の主人公を対等に描くという、それまでの作品と比べて革新的な要素があります。
池井戸潤の文庫オリジナルとして刊行された作品としては、『かばん屋の相続』『ようこそ、わが家へ』に続いて本作が第3作目となります。
直木賞作家・池井戸潤
池井戸潤は1988年に都市銀行に入社したが32歳の時に銀行を退社し、ビジネス書の執筆や税理士・会計士向けのソフトの監修をしていたが、テーマが限られていることから将来に不安を感じ始め、夢だった江戸川乱歩賞を目指し始めました。
その後1998年に『果つる底なき』で第44回「江戸川乱歩賞」を受賞し作家デビュー。
テレビドラマは驚異の42.2%の視聴率達成!
元銀行員の経験を生かし、銀行を舞台にした「半沢直樹」シリーズは企業エンターテイメント小説としてテレビドラマ化もされ、 平成に放送されたドラマで最終回の総合視聴率は、ナント!42.2%の高視聴率を弾き出した驚異のドラマともなりました。
「半沢直樹」のテレビドラマは、堺雅人、阿部寛、二階堂ふみ、松坂桃季、役所広司といった日本を代表する俳優陣が豪華初共演も果たし、「やられたらやり返す、倍返しだ」、「クソ上司め、覚えていやがれ!」などのキャッチコピーも登場し 社会現象にもなるほどでした。
テレビドラマを経て映画化
『アキラとあきら』は、2017年にテレビドラマが放送され、2022年に映画版を公開。
本作は2017年に向井理と斎藤工がタッグを組み、WOWOWでドラマ化されました。
境遇の異なる2人が運命に導かれるように同じ大手銀行に就職し、友情を深め合いながら、それぞれの人生を切り拓いていく、見応えたっぷりの社会派人間ドラマとなっています。
池井戸作品3度目の出演となる「仮面ライダードライブ」の竹内涼真と、『流浪の月』の横浜流星がW主演を務め、正反対な2人のアキラとあきらを演じました。
同じ名前を持つ2人の男による逆転劇を、『ソラニン』の三木孝浩が実写映画化。
短期間に新作映画が3本公開された三木孝浩監督
三木孝浩監督作は『今夜、世界からこの恋が消えても』、『TANG タング』、『アキラとあきら』のメジャー作品3本が、短期間に新作が3本公開されました。
三木孝浩は、漫画原作の恋愛映画で手腕を発揮する監督で、2010年に長編初監督作品となる映画『ソラニン』(宮﨑あおい・高良健吾 主演)が大ヒットしました。
2012年、長編2作目となる映画『僕等がいた』が、邦画初の前・後篇2部作連続公開され2010年代以降は少女漫画原作の恋愛映画を次々と手がけており廣木隆一や新城毅彦とともに「胸キュン映画三巨匠」と呼ばれています。
胸キュン映画三巨匠は「おっさん監督」
昨今、日本映画の中でも数多くの作品が公開されている“胸キュン映画”の多くが、3人の監督によって作り出されていると「テレビ」で紹介されました。
胸キュン映画とは、少女漫画などを原作とした青春恋愛映画のことで、毎年公開本数が増えており、番組ではそれらの多くを手掛ける“3巨匠”として、「PとJK」の廣木隆一監督、「ひるなかの流星」の新城毅彦監督、「先生!」の三木孝浩監督を紹介しています。
放送後、3巨匠のテレビ共演は映画ファンや原作ファンの話題になり、「胸キュン映画ってこんなおっさん監督が作ってんの?」「おっさんが胸キュン映画を支えてくれてるんだな・・・」などと、驚きの声があがりました・・・胸キュン映画はオッサン監督が作っていた!?
池井戸作品3度目の出演・竹内涼真
爽やかな好青年からシリアスな役柄までこなす実力派・竹内涼真が、今作ではひたむきで人情味あふれる銀行員を熱演します。
そして、冷静沈着で頭脳明晰な銀行員であるが、老舗海運会社・東海郵船の御曹司で親戚との軋轢や足の引っ張り合いに嫌気がさし、自ら後継ぎの座を退いた過去を持つ階堂彬を演じるのは、今最もブレイクしている若手俳優・横浜流星が池井戸作品に初出演します。
三木孝浩監督は、竹内涼真さんとは『青空エール』、横浜流星さんとは『きみの瞳が問いかけている』以来それぞれ2度目のタッグとなり信頼関係が築かれた強力な布陣で魅せます。
他キャストは、江口洋介、King & Princeの高橋海人、上白石萌歌、児嶋一哉、ユースケ・サンタマリア、石丸幹二らが出演。
『アキラとあきら』あらすじ
幼い山崎瑛(アキラ)は、父親の経営する小さな町工場に遊びにいった。
その時、父親が必死な形相で土下座をしている・・・男達は冷たい態度で立ち去っていく。
その男達はバンカー(銀行員)だった。
その後 銀行から融資を断られたため、会社は倒産し工場の機材が運び出されていく。
山崎一家は追い出され瑛の手元に残ったのは、父親が開発した部品の一部だけ。
泣きじゃくる瑛に従業員の保原が声をかける・・・キリスト教でもある保原は ”人生には色々あるが、乗り越えられない宿命はないのだ” と言い聞かせるのだった。
それでも、悔しさに機材を積んだトラックを追いかける瑛は道路に飛び出してしまう。
宿命の二人の出会い!
高級車が急ブレーキで止まった!乗っていた少年は、大企業「東海郵船」の御曹司・階堂彬(あきら)だった。
瑛の握りしめていた部品が道路に転がり、彬が拾いあげる・・・“大事なものなの?”
“うん!” 彬は、ハンカチで丁寧に拭い、瑛の手に戻してあげた。
アキラとあきら・・・それは 同じ名前を持ちながら、正反対の境遇で育った2人が初めて出会った瞬間だった。
階堂彬の父親が経営する階堂グループは、父親であり長男の階堂一磨が「東海郵船」、次男の晋が「東海商会」、三男の崇が「東海観光」とそれぞれ社長を務めている。
3兄弟は仲が悪く、嫉妬や足の引っ張り合いを繰り返している・・・彬はそんな一族の争いに幼いながら心を痛めていた。
12年後の再会
それから12年後、瑛と彬は産業中央銀行に就職し再会する。
ある日、メガバンクの「産業中央銀行」では新人研修が行われていた。
この研修のメインは融資戦略研修で、銀行側と企業側にわかれ、融資をかけ熱戦が繰り広げられる。
ファイナルに残ったのは、山崎瑛が率いる銀行チームと、階堂彬が率いる企業チーム。
大胆に仕掛ける企業チームの穴を見逃さず、鉄壁を崩さない銀行チーム。
この戦いはのちに、バンカーの間で語り継がれるほど見事な戦いとなった。
アキラとあきら・・・宿命とも呼べる同期入社を果たした2人だったが、幼い頃の記憶は残っていなかった。
地方への左遷
ある日、瑛の担当である井口ファクトリーの大手取引先が倒産し、工場の運営も回らず不渡りをだしてしまう。
冷徹な上司・不動は、ただちに井口ファクトリーへの融資を取りやめ、他行にある預金を押え融資金の回収に乗り出した。
瑛は、その預金が難病の娘さんの手術費であることを知っており、どうにか融資を続けるよう頼み込む瑛だったが、相手にされない。
幼い頃の記憶が蘇り、瑛は井口社長に銀行から急いで預金をすべておろすように助言した・・・この件で、瑛は地方支店へ左遷となってしまう。
苦境の二人
4年後・・・彬は、本社勤務で順調に出世コースを歩んでいたが、父親の一磨が突然倒れ亡くなってしまい、遺産相続でもめた一族は、さらに憎しみ合うようになっていく。
その頃、瑛は左遷先で企業と銀行の信頼関係の薄さに苦しんでいた。
期待されないバンカーは、何人も助けることができない。
そんな瑛のもとに、井口ファクトリーの井口社長から手紙が届いた。
おかげさまで娘の手術も成功し、幸せに暮らしているという報告だった。
成長と復活!
奮起した瑛は、経営難に陥る企業を救うことに成功!
そこで働く人たちを大切に、親身に相談に乗り道を開くトップバンカーに成長した。
実績を残した瑛は、本社へと返り咲いた。
その頃、彬は銀行を辞め東海郵船の社長になっていた。
彬は、ばらばらになっていた東海グループを一つにまとめ、産業中央銀行の融資金で他行の借り入れを返済し、さらに東海商会を売却し産業中央銀行へ返金する計画を立てた。
そのためには東海商会と、東海観光の全株を東海郵船に譲渡し傘下に入れることだ。
さぁ 闘え!
この融資に対し、瑛は融資の稟議書に目も通そうとしない不動本部長に辞職をかけて挑む。
そして10年前の新人研修で伝説を残した「アキラとあきら」が、一つの会社を守ろうと、宿命を乗り越える戦いを仕掛けていく・・・。
グッとくる熱い人間ドラマ!
『アキラとあきら』は、大手の銀行を舞台に2人の青年の成長と巨大企業破綻の危機に立ち向かっていく姿を描いた感動巨編で、銀行や経営など経済の知識がなくても楽しめる、グッとくる熱い人間ドラマです。
本作では、出自の異なる二人の青年がそれぞれの宿命を背負いながらもお互いライバルとして認め合い、意識し合い成長していく物語。
『ドラゴンボール』の悟空とベジータ、『SLAM DUNK・スラムダンク』の桜木花道と流川楓みたいな少年漫画にあるように、対立していたライバル同士が手を結ぶ展開が強調された作品です。
「乗り越えられない宿命はない!」宿命の壁を乗り越えた時「すべては偶然ではなかった」と気付くのかもしれない・・・『アキラとあきら』は、あ・き・ら・か・に 面白い映画です。
作品概要
製作国:日本
監督:三木孝浩
上映時間:128分
劇場公開日:2022年8月26日
コメント