2017年10月に劇場公開された「ゲット・アウト」の予告編動画は、こちら
黒人青年のクリスは、白人の恋人ローズの実家に招かれることになった。
黒人だから差別されるのではと心配するが、ローズの両親は大歓迎をしてくれる。
しかし、この家族はなんかヘンだ? 黒人の青年は、そこで想像を絶する恐怖を体験する!
その驚くべき内容で、全世界大ヒットを記録した話題のサプライズ・スリラー!
この居心地の悪さはなんだ
黒人の主人公・クリスは、白人で恋人の田舎の実家に泊まりに行くことになった。
最初は家族から大歓迎、でも何か感じる妙な違和感…この居心地の悪さはなんだろう?
何かがおかしい? この家族はヘンだ!違和感は徐々に増し…不気味になっていく。
そして クリスはその邸宅で、想像を絶する事態に直面することになる!
2017年公開の『ゲット・アウト』は、全世界で話題を振りまいた注目作。
人種偏見のドラマ
1967年公開の『招かれざる客』は、ハワイで出会い 恋に落ちた2人は結婚を決意し、彼女の実家の両親に報告しに行く…しかし、その結婚カップルは白人女性と黒人男性。
それぞれの両親が一同に会した時、人種の違いによる困惑と反対感情が沸き上がる…正に、白人と黒人の結婚をテーマに、人種偏見による複雑な関係が描かれました。
低予算でも全世界大ヒット
本作は、人気ホラー作品を手がけるジェイソン・ブラムが製作し、低予算ながら米映画レビューサイトで 99%の評価を受け、全米はじめ全世界で大ヒットを記録!
ジョーダン・ピールの監督デビュー作にして、第90回アカデミー賞では作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞の4部門にノミネートされ、脚本賞を受賞しました。
ジョーダン・ピールの他の作品「アス」も楽しめます。詳細は、以下の記事を参考にしてみてください。
映画「ゲットアウト」のあらすじ
青年は想像を絶する恐怖を体験する!
ニューヨークに暮らすアフリカ系黒人の写真家クリスは、ある週末に白人の恋人・ローズの実家に招待される
白人の両親が、自分を受け入れてくれるか不安だったが、ローズは「パパはオバマ大統領の熱心な支持者なの。肌の色でひとを差別なんてしないわ」と話し、両親はクリスを大歓待してくれた。
若干の不安とは裏腹に過剰なまでの歓迎を受け、周囲の住人たちも優しくていい人ばかりだった。
けれどもやがて、満面の笑みを浮かべる彼らを前に、クリスの心に疑念が生じる。
この居心地の悪さはなんだ? 何かがおかしい? この家族はヘンだ!
更に、この家の管理人や家政婦の奇妙な振る舞いを目撃する。
そして、招待客の黒人の写真を撮った時 ”Get out出ていけ!”と叫ばれた!
一体どこから、”何”に出ていってほしいのか?
クリスは、そこで想像を絶する恐怖を体験することになる!
「ゲットアウト」のキャスト
主人公の黒人青年をダニエル・カルーヤ 、恋人を アリソン・ウィリアムズ 、他にブラッドリー・ウィットフォード 、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ 、 スティーヴン・ルート、キャサリン・キーナーなどが共演。
「ゲットアウト」の見どころポイント
名作『招かれざる客』のリメイク版かと勘違いしていたら、予想外の展開での衝撃作!
永遠の若さと肉体を望む、人間の欲望と醜さに驚いてしまう。
そして、人々の心の内に潜む「人種差別」の潜在意識も巧妙に描かれています。
全てが不思議な空気感とジワリ ジワジワと忍び寄ってくる恐怖…ラストで全てが明らかになる その巧みな伏線に感心!
ゲットアウト」のメッセージを解説
この作品には、映画内に隠されたメッセージが存在します。
白人の家族には、黒人の使用人がいて、主人公のクリスが非常に不愉快に思うシーンがあります。
このシーンは、アメリカ南部の奴隷制度を表していると言われています。
17世紀から19世紀半ばにかけて、アメリカの南部では黒人は生まれながらにして奴隷として売買されることが多かったそうです。
この作品は、単なるサスペンスでなく、社会問題や差別問題を考えるきっかけを与える作品として評価されています。
映画「ゲットアウト」のレビューを調べてみた
そう考えたらマリグナントもゲットアウトも、警察には信用してもらえないけど妹や友達は信用してくれてるから、それが緩和剤となって観てる方も主人公と対立しているものに目を向けられるのかもしれんね。
🎟どれが好き?ホラー映画9選🎟 1.『シャイニング 』 2.『ヘレディタリー 』 3.『エスター 』 4.『アス 』 5.『ゲットアウト 』 6.『サスペリア 』 7.『ジェーンドウの解剖 』 8.『ミッドサマー 』 9.『グリー…
アレを入れ替えるの元ネタどっかで観たことあるなぁと引っかかってたんだけどJピール監督の「ゲットアウト」だ。 天国大魔境
天国大魔境とゲットアウトに共通点があって なんだこの偶然、って思いました
ゲットアウト 考察と解説
ここでは、ネタバレ含めて解説します。まだ観ていない方は注意してください。
この映画は、人種差別という深刻なテーマを扱いながら、視覴者を驚かせる展開と結末を用意しています。
以下では、その2つの異なる結末とその意味について詳しく見ていきましょう。
ゲットアウトの別エンディング
映画のオリジナルの結末では、主人公のクリスは彼のガールフレンドであるローズと彼女の家族による恐ろしい計画から逃れることに成功します。
彼は家族の邪悪な計画を暴き、最終的には彼らを倒します。
しかし、彼の逃走は警察によって止められ、彼は犯罪者として逮捕されます。
この結末は、映画のテーマである人種差別の現実を強調しています。
クリスが白人家族に対抗して戦い、生き残ることができたにもかかわらず、彼は最終的には社会の不公平さによって犠牲になります。
上映エンディング
一方、上映された映画の結末では、クリスは逃走に成功し、彼の親友であるロッドによって救われます。
この結末は、視聴者にとってはより満足のいくもので、クリスが彼の試練から完全に逃れることができます。
しかし、この結末は映画のテーマを緩和するもので、現実の人種差別の厳しさを緩和しています。
結末の意味
これらの結末は、映画が扱っている人種差別というテーマを強調しています。
別エンディングの結末は、人種差別の現実を無視することなく、その厳しさを直視しています。
一方、上映版の結末は、より希望的で、主人公が困難を乗り越えて成功するという、映画の一般的なパターンに従っています。
しかし、どちらの結末も、人種差別が個人の運命にどのように影響を与えるか、そしてそれがどのように社会全体に影響を与えるかという、映画の中心的なメッセージを強調しています。
ローズの最後の行動とゲットアウトのテーマ
映画『ゲット・アウト』の終盤、ローズはまだ生きており、銃を手に取ろうとしていましたが、クリスが取り上げます。
ローズはここに至ってもまだクリスを操れると考えており、「クリス、ごめんなさい、私よ。愛してるでしょ」と懇願します。
しかし、クリスはローズの首を絞めようとしますが、ローズが笑うのでクリスはできません。
その時、警告灯がともった車が到着しました。
クリスはローズに馬乗りになった状態です。
はためには「クリスが暴れたあげく、女性のローズを殺そうとしている」ようにしか見えません。
それを計算したローズが、警察に芝居を打とうとして「…助けて…」と言います。
まずいと判断したクリスは、両手を上げました。
車から降りてきたのは、ロッドでした。
ロッドは促してクリスを車に乗せ、そのまま立ち去ります。
放心状態のクリスに、ロッドはわざと明るく茶化すように「行くなって言ったろ」と声をかけました。
「よく見つけたな」と、クリスは返します。
「TSA(運輸保安局)だぞ。それが任務だぞ」と言い、ロッドは笑いました。
立ち去る車を倒れたまま見つめるローズは、静かに死にます。
ゲットアウトのテーマ
映画『ゲット・アウト』のテーマは、”黒人の無念と怒りを象徴している”です。例えば冒頭シーンでローズの車に撥ねられ無慈悲に殺された鹿ですが、ローズの父ディーンが「鹿は生態系に影響を及ぼすから殺したい、もっと殺してほしい」等と発言しています。
このセリフは、鹿ではなく黒人に対しても言っているかのように思われるため、鹿=黒人に置き換えられています。
また後半の地下室の鹿は、クリスがディーンを殺害し脱出する手段として使用しており、まるで凝固法の移植手術で虐げられてきた黒人の怒りをクリスが代弁しているかのように描かれています。
このことからも鹿が「黒人の無念と怒りを象徴している」のは間違いないでしょう。
また、作中には黒人の奴隷制度や、差別に対する小さなメッセージが次々とこめられているのです。
監督がいかに細かい箇所にこだわり、メタファーを利用していることがわかります。
ゲットアウトのグロテスクな描写について
「ゲットアウト」は、その独特なストーリーテリングとグロテスクな描写で観客を引きつける映画です。
この映画は、人種差別という深刻なテーマを扱いつつ、ホラー映画の要素を巧みに取り入れています。
その中でも特に印象的なのが、映画のグロテスクな描写です。
映画の中のグロテスクな描写
このシーンは、視覚的にも心理的にも衝撃的で、観客に強烈な印象を与えます。
また、このシーンは映画のテーマである「身体の乗っ取り」を象徴しています。
また、映画のクライマックスでは、主人公が自分を乗っ取ろうとする一族を次々と倒していく様子が描かれます。
これらのシーンは、血しぶきと暴力的な描写で満たされており、観客に恐怖と緊張感を与えます。
グロテスクな描写の意図
映画「ゲットアウト」のグロテスクな描写は、ただ観客を驚かせるためだけではありません。
それらは、人種差別の恐ろしさや、他人の身体を乗っ取るという行為の異常さを強調するために用いられています。
また、これらの描写は、観客が映画のテーマに深く思いを巡らせるきっかけを提供します。
グロテスクな描写の影響
「ゲットアウト」のグロテスクな描写は、観客に強烈な印象を与えるだけでなく、映画のメッセージを強調する役割も果たしています。
これらの描写は映画の評価を高め、多くの映画賞を受賞する一因ともなりました。
「ゲットアウト」のグロテスクな描写は、映画のストーリーテリングとテーマ表現に重要な役割を果たしています。
これらの描写は、観客に強烈な印象を与えるとともに、映画の深いメッセージを伝える手段となっています。
なぜゲットアウトの使用人は走るのか
使用人たちが走るシーンは視聴者に強烈な印象を与えますが、その行動には深い意味が込められています。
使用人たちの真実
映画の中で、使用人が走る理由は直接語られませんが、彼らの行動は物語の核心部分を示しています。
使用人たち、すなわちジョージナとウォルターは、実はアーミテージ家のおばあちゃんとおじいちゃんの脳が移植された黒人の体でした。
彼らの奇妙な行動は、元の人格と催眠のかかっている人格とで何かしらの衝突が起きているからです。
人間の体を乗り物として見る倫理的な嫌悪感
アーミテージ家の目的は、黒人を脳移植手術の餌食とすることでした。
彼らは黒人の体を乗り物として見ており、そのために黒人の体を乗っ取って違法な脳移植を行っていました。
この行為は、人間の尊厳を踏みにじるものであり、視聴者に強い倫理的な嫌悪感を与えます。
人種差別との戦い
映画『ゲットアウト』は、人種差別という深刻な問題を扱っています。
ゲットアウトの伏線とその解明
映画『ゲットアウト』は、視聴者を驚かせるために巧妙に配置された数々の伏線で満ちています。
これらの伏線は、映画の全体的なストーリーテリングを強化し、視聴者が映画の深層を理解する手助けをしています。
以下に、映画のいくつかの主要な伏線とその解明を詳しく説明します。
1. ゲットアウトのタイトルの真実
映画のタイトル「ゲットアウト」は、直訳すると「出ていけ」という意味になります。
しかし、この映画では、アーミテージ家のパーティーに招待された黒人男性・ローガンがフラッシュを浴びて一時的に正気に戻った時に「Get Out!」とクリスに向かって叫びました。
実は、この時ローガンは「ここから逃げろ!」という意味を込めてクリスに叫んだと考えられます。
クリスは、ローガンがいきなり鼻血を出して叫んだことに驚いてアーミテージ家からその場で逃げることはありませんでした。
2. ジョージナの髪の毛と鏡
映画の中で、ジョージナは何度も鏡を見て髪の毛を整えるシーンがあります。
これは初めて見たときには不自然に感じるかもしれませんが、物語が進むにつれてその理由が明らかになります。
ジョージナとウォルターは脳移植を受けている存在で、ジョージナは髪の毛で手術跡を隠していたのです。
3. アーミテージ家の計画
映画の中で最も大きな伏線は、アーミテージ家の恐ろしい計画です。
彼らは黒人を騙して誘拐し、年老いた白人に黒人の肉体を提供していました。
黒人の肉体に白人の脳を移植し、永遠の精神や命を手に入れようとしていたのです。
この計画は家族全員が関与しており、娘のローズが黒人を連れて来ては母親が催眠術をかけ、父親が脳移植を担当していました。
これらの伏線は、映画のストーリーを深く理解するための重要な要素です。
映画を見終わった後にこれらの伏線を振り返ると、映画の複雑さと巧妙さがより一層際立ちます。
映画「ゲットアウト」の作品情報
- 製作国:アメリカ
- 監督: ジョーダン・ピール
- 上映時間:103分
- 日本劇場公開日:2017年10月27日
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