2017年公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』の予告編動画は、こちら
スター・ウォーズという映画
1977年公開のジョージ・ルーカス監督による「エピソード4/新たなる希望」を皮切りに、1980年「エピソード5/帝国の逆襲」、1983年「エピソード6/ジェダイの帰還」が制作され、それぞれ世界的にヒットした。
作品のジョン・ウィリアムズ作曲のメインテーマとSTAR WARSのタイトルがシンクロし、銀河の彼方へと誘導されるようなオープニング。
これは衝撃的でありストーリーへ観客が一気に引き込まれていくものである。
この三作では主人公のルーク・スカイウォーカーの冒険が描かれている。
1999年から2005年、アナキン・スカイウォーカーが主人公であるシリーズが、やはり三部作で公開された。
1999年「エピソード1/ファントム・メナス」、2002年「エピソード2/クローンの攻撃」、2005年「シスの復讐」。
これらの映画はスター・ウォーズで最も人気の高いダース・ベイダーの誕生までを描いたシリーズである。
そしてシークエル・トリロジー(Sequel Trilogy)とも称される、レイが主人公である2015年「エピソード7/フォースの覚醒」、2017年「エピソード8/最後のジェダイ」、2019年「エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」が公開された。
廃船の部品を売って生活していた少女レイは、強力なフォースを生まれながらに潜在していた。
ジェダイとしての訓練を受けていないのにもかかわらず、カイロ・レイとの初めての戦いで、彼の顔面にライトセーバーで深い傷を負わすほどの戦闘能力を持っている。
隠匿していたルークを探し出し、彼から修行を受けてジェダイを継承する。
様々な困難を乗り越えて、彼女は最終的には真の平和を銀河に取り戻した。
「エピソード8/最後のジェダイ」の制作背景
「エピソード1〜6」はジョージ・ルーカスが監督または監修をしている。
「エピソード7〜9」は2012年にディズニーがルーカス・フィルムを買収したと同時にスター・ウォーズを獲得、制作を行った。
「エピソード1〜6」はルーカスの体験が反映された作品で、彼はウッドストック世代であり根底にある精神性はロックンロールである。
ロックンロールの精神性とは、自分たちの上の世代、つまり親の世代と社会への反抗である。
1944年生まれのルーカスが青年期を過ごした60年代から70年代は、ベトナム戦争、オイルショックがあった。
この時代の映画はニューシネマが主流。
「滅びの美学」とも称される言わば死んで終わる若者の話である。
ルーカスの親の世代はベトナム戦争を支持しており、その戦争を止められなかった世代への怒りがウッドストックを開催したヒッピーやフラワーチルドレンたちであった。
また、スピリチュアル、インドへの傾倒など、それまでとは異質ものとの接触を通じて若者たちは自分探しを行った。
ルーカスはそうした体験をベースにして、世界中の民話・神話、そして尊敬する映画監督 黒澤明の時代劇映画を混合させて創り出したのがスター・ウォーズである。
スター・ウォーズの登場は、ニューシネマの終わりを宣言することになった。
黒沢明の作品に興味のある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
「エピソード8/最後のジェダイ」で描かれていること
ルーカスの手を離れたディズニー製作によるによる「エピソード8/最後のジェダイ」は、じつは最高傑作の呼び声が高い「エピソード5/帝国の逆襲」のストーリー展開と類似している。
しかし、大きく異なるのは、ディズニー製作作品でフォーカスされているのは現代の若者である。
`60年代、`70年代はもちろんバブルの時代も知らない世代。
「エピソード7・8・9」で帝国軍と戦うレジスタンスの若者たちには、ルークやハン・ソロ、ジェダイは伝説化している存在だった。
若者たちはルークら本人に会うまでは信じられないでいた。
彼らはフォースの無い世界で貧しく生きていた。
21世紀を生きている若者たちを象徴している。
また、この映画は親世代の子供の教育の失敗を描いている。
ハン・ソロ、レイア、そして叔父であるルーク3人のカイロ・レイの子育ての失敗がそれである。
伝えたかったこと
それは、若者たちが追い込まれた原因をつくり出した、彼らの親の世代への声なき声である。
いまのこの世界を住み良い世界にしてくれなかったことへの反逆の投影がこの作品である。
レジスタンスの若者たちは、貧しい、経験不足、知識がない。
だが、無情にも帝国軍は彼らを攻撃してくる。
だから後がないので必死に行動をする。
我々は次の世代へ希望を与えることが必要である、ということを、この映画は映像を通して伝えている。
海外での評価
海外での評価は、日本と同様で賛否両論ありだが、
アメリカの辛口評価サイト”Rotten Tomatoes”では、評論家の評価は、100パーセントのうち92パーセントが高評価。
ただし、一般人の評価は、53パーセントとなっており、ずいぶんと差がついている。
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